第197話 実験開始
今日はミカの誕生日から3日後だ。
んー…いつかああなるとは思ってたけど、それがミカの誕生日だとは思わなかったよ。
嬉しいとかそう感情に混ざって、やっちゃった……って感じもある。
責任はとる! 大丈夫! むぅ…だけど…本当にそれだけで良いのかな?
あぁ…今日は時間に余裕があるからか、今になって何だかゴチャゴチャ色々と考えて…。
「どうしたの? アリム、なんか難しい事考えてるの?」
ソファに座ってた俺の隣にミカが座り、寄り添ってくる。…可愛い。
「ん……いや、ちょっとね。今日は1日なにもないから、何しようか考えてたの」
まぁ、それは嘘ではない。
ちょっと前までそのことを考えてたんだ。
「んー、そうだね……」
俺と一緒に今日の予定を考えくれている彼女の顔をまじまじと見つめる。
「む、アリム。私の顔になんかついてる?」
「いやー、見惚れてただけ。今日も可愛いね」
「えへへ、そう? アリムも可愛いよっ! …じゃなくて、今日の予定よ、予定」
俺の肩に頭を乗せながら、ミカは俺に今日の予定を提案してくれている。
ともかく、やっぱり1番大切なのはミカを大事にすることだよ…ね。
まぁ、今、俺は女の子だし、女の俺が男目線で深く考えても、いい考えは出ないかもしれない…かな?
今度また、今日の夜にでもよくミカと話し合おうかしらん。…って、よく考えたらミカと結婚するって約束してるし話し合ってもその話になりそう。うー、難しいなぁ…。
「_____が、いいと思うんだけど…って…アリム、聞いてる?」
しまった、聞いてなかった。
「ごめん。聞いてなかったよ。ミカ、好きだよ」
俺は自分でも驚くくらい唐突にミカにキスをする。
ご…誤魔化してるわけじゃないんだからねっ!
それにしても、数ヶ月前までキス一つで、女の子同士の状態でもしばらく顔を合わせられなかったのに、今じゃ大分慣れたものだね。最近、毎朝一回はしてるもん。
「私も好きだよっ……て、誤魔化さないで!」
「えへへ、ごめんごめん」
とりあえず、もう一度キスをする。
「もぉ…嬉しいけど。とにかく、もう一度言うから聞いててね?」
「あい」
「数ヶ月前にダンジョン行った時にアリム、ゴールドローズクィーンドラゴンで試したいことあるって言ってたじゃない? そろそろ、それを実行したらどうかなって考えたの」
あーそうか、すっかり忘れてた。
そういえば、そんな事言ってたっけ……。
じゃあ今日はそれにするか……って、気軽にできる内容じゃないんだよなぁ……。
「んー、どうしよっかなぁ…実はね、その実験さ、気軽にできるような内容じゃないんだよ」
「そうなの? どんな実験なの?」
「あ、それはね」
その実験の内容はこうだ。
その1、ゴールドローズクィーンドラゴンを俺の眷属にする。
実は、ダンジョンのボーナス部屋から出てきたスキルカードの中に、自分で好きな魔物を捕らえて眷属にすることができる物が有ったんだ。
ゴールドローズクィーンドラゴンはドラゴンだから、そのスキルを試すのならどうせならドラゴンがいいかなって考えただけの内容。
その2、ゴールドローズクィーンドラゴンを人間にする。……正確には魔族の人間、或いは獣人にする。
実は、そのまた手に入れたスキルカードの中に……『人間化』という物が有った。
スキルカードは人間が使う物のはず。
なのに人間化というのはどういうことなのだろうか?
それに、このスキルはどうやらSK2…つまり自分に対してのみ効果がある物なんだ。
興味がある。だから、今まで戦ってきた魔物の中で唯一コミュニケーションのできたあのドラゴンに使ってみよう。という内容。
もし、後者が成功したなら、この世に人間を一人増やすことになる。人間を魔物みたいに軽々と殺すわけにはいかない。
そうなると、ゴールドローズクィーンドラゴンは人間として暮らしていくことになる……。
軽々しく行うわけにはいかないんだ。
それらを、ミカに説明した。
「確かに、そんな問題はあるよね」
「うん」
「んー、ならさ、人間にする実験はやめておくか、人間になりたいかどうか本人に訊いたら?」
「そうだね、そうしようか」
流石、学力学年No.3だったミカさんだ。
あっという間に実験の課題をまとめ上げてしまった。
ん? 今の話に学力は関係ないか…?
俺とミカは実験をするために、屋敷の地下に作った巨大な実験・実戦所に向かった。
実はここ、家でアムリタを作る時にいつも使ってるんだ。
「よし……じゃあ、はじめよう!」
俺はゴールドローズクィーンドラゴンの肉を部屋の真ん中に置き、アムリタをその肉に振りかけた。
超高速でぶくぶくと肉が膨らむ様に広がっていき、ドラゴンの形を作っていく。
あっという間に、ゴールドローズクィーンドラゴンが復活した。
これでこのドラゴンを生き返らせるのは3回目かな?
「グォオォオオォォオオォオッ!!!」
生き返ってすぐに、ゴールドローズクィーンドラゴンは咆哮をあげた。
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