第171話 圧倒的な力
「くらえっーー!」
俺はそう言いながらこっちに向かってくるサマイエイルを確認しつつ、ゾーンを展開。
そして大勇者の剣を神剣に持ち替える。
やっぱり、俺のレベルは桁違いだったのか。
悪魔神すら止まって見える。
てなわけで、俺は神剣に自ら近づいて、10回くらい連続で斬った。
無論、神剣の効果で身体に傷がつかないようにしてある。
カルアちゃん達との約束だもんね。
だけれど、もし、サマイエイルにもMPのシステムがあるならば、神剣のMP吸い取る能力でMPは0になったはず。
様子見の為、サマイエイルから距離をとりゾーンを解除してみた。
こちらに突撃してきていたサマイエイルは急に停止した。
黒い靄はどこかに分散していった。
まぁ、どこに行ったかはこの際どうでもいいや。
とりあえず、サマイエイルの気分はすごく悪そうに見える。
あれは…MPが一気に無くなった時にでるやつだ。
最近、俺もああなった。わかる、あれは辛い。
「わ……我のMPが消えた…だと? 貴様っ…何をした!?」
俺を睨むサマイエイル。
「ん……まぁ、見てたでしょう? ボクはなんでも作れるんだ。……そう、MPを一瞬で無くすアイテムを作るなんてことも…朝飯前なんだよ」
そう言って、ニコっと笑って見せた。
罵りの意味も込めて。
「本当に厄介だな……」
「うん、でもボクからしてみればさ、サマイエイル……"魔神"って名前についてるし、どんぐらい強いのかなぁ……って思ってたんだけどね、なんか拍子抜けだよ」
これは本心から、俺は言っている。
マジで拍子抜けだ。
もっと強いと思ってた…。
だって、だって昔から人間…勇者と闘ってきて、語り継がれてきて…こんなの、ゲームで言ったらラスボスじゃん?
俺は…レベルを上げすぎたのかもしれない。
ガッカリ……というよりなんだか、懐かしい気持ちだ。
そう、地球じゃあ、俺はRPGゲームをする時、いっつもいっつもラスボス前でレベルをカンストさせちゃって、そんでもってラスボスに挑んでた。
その時のラスボスを倒した時の感覚そのものだ。
スリルもクソもない。
やっぱり、こんなの相手にするよりレベル上げをしてた方が楽しいよ。
いや…もうレベルを上げる必要もないし、ミカとデートしたり、カルアちゃんと遊んだりした方がより有意義だ。
「なん…だと? 貴様…魔神である我を愚弄するのかっ!?」
「だって、弱いのは本当じゃん…俺のスピードにすらついてこれてない」
俺は再度ゾーンを発動し、サマイエイルの背後に回り込む。
そしてサマイエイルの背後でゾーンを解除。
肩をトントンと叩く。
サマイエイルは驚愕の表情でこちらを振り向いてきたから、そのまま、ほっぺたを指でプスっとし、笑って見せた。
いわゆる舐めプだ。
「ね?」
「………っ」
サマイエイルは慌てたように、振り向きざまにドロップロットを振ってくる。
俺はそれが当たる寸前でゾーンを発動し、また、サマイエイルの背後にまわる。
そしてカルアちゃんのお母さん…えっと、カルナさんだったっけ?
その人から生えてるサマイエイルの羽根を、マジックバックから取り出し大勇者の剣で、根元からすべてバッサリと切断しようとした。
が、しかし大勇者の剣では不思議な力で弾かれたように、何故か切断できなかった。
試しに神剣で斬ってみたら切断できた。
最初から勇者の剣なんかじゃなくて、神剣で戦ってればよかったかもしれない。
そして、ゾーンを解除する。
「羽がっ!?」
サマイエイルは頭から真っ逆さまに落っこちた。
…やべ、このままじゃ、カルナさんまで傷つけちゃう。
俺は再度ゾーンを展開し、空中でカルマさんをおぶって、地面まで降りた。
ここは大体……拠点から200メートルくらい離れたところかな。
そして、悪いとは思いつつ、国宝級の拘束具を作り出し、そこにサマイエイルを固定。
その後、ゾーンを解いた。
「落ち……ない? だと……それに…拘束されて…」
サマイエイルは拘束されてない首だけを動かして、あたりを不思議そうにキョロキョロと見回した。
俺は拘束したサマイエイルの顎先に勇者の剣を突きつける。
「まぁ……みたらわかると思うけれど…ボクの勝ちだね」
そう言うと、サマイエイルは最初こそ驚いた顔をしていたものの、徐々にニヤリと笑いだした。
「そうか……だが! 我を殺すことはできぬ! 霊体だからな…残念だったな、真の勇者よ…ふははははははっ!」
まあ、封印さてから永久に無力化する方法なんて、俺にかかればいくらでもある。
そんなことはどうでもいい。
だから、永久にサマイエイルが活動できなくなる前に…まぁ、幾つか何かを訊いておこうかな。
うん。昔話を読んでて、疑問に思ったところも結構あるし、本人に聞いてみるのがいいよね。
大体、こういうラスボスっぽいのって、こういうことする理由があるはずなんだもん。
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