七章 ハルマゲドン
第156話 配置
戦争当日
昨日、国王様達が考えた軍の配置が発表されている。
その配置にすでに、メフィラド軍は朝12時にはスタンバイしていた。
敵はどこから来るか、何時に来るか、全くもって検討がつかない。
故に1万5000人もの兵の配置はどこから責められても対応できるようなものとなった。
メフィラドの王都は東西南北にそれぞれ大きな門があり、そこで出入りができるようになっている。
相手の狙いは、メフィラドだということがはっきりしているため、王都を囲んで守るような配置だ。
国民を守るために戦うようなものなので、王都に入られたらおしまいである。
無論、この国にとって必要な人物や他国の偉い人は城の中で待機。
だがしかし、国王始め、騎士団長、大臣、大司教の四人はなぜか戦争で戦うらしい。
皆は止めたが、だれも制止できなかった。
主な兵の配置は以下の通り。
南口
SSSランカー・ギルマーズと、ギルマーズのチーム率いる、ピースオブヘラクレスの冒険者と、国の兵の混合軍
西口
SSSランカー・ラストマン率いる、奴隷解放軍の元参加者(ガバイナ、ラハンド、バッカス含む)
と、騎士団。
東口
SSSランカー・パラスナ率いる軍隊。
北口
国王軍+アリム、ミカ。
国王軍に直接、国王、大臣、騎士団長、大司教が参加。
述べ約1万5000人。
後方支援は3000人程。
戦争に参加するのはCランク以上の冒険者のみで、Dランク以下は後方支援。
また、今回参加しなかった冒険者は都内で国民の警備・守護にあたっている。
東西南北と、王都の中心それぞれにアリムが作った像が置かれ、東西南北にあるそれを囲むようにして拠点を設置した。
この戦争に参加した者は全員、最初は心のどこかでは不安を抱いていた。
まず、勇者に関して。
12歳の少女が勇者だというのは、だれも納得しなかった。だが今は、目の前で冒険者や戦士・騎士達もアリムによって強化されるという、勇者の実力を見せ付けられたため、問題はない。
その上、この戦争にはSランカー以上は全員参加している。
勇者に対する不安は晴れたが、また別の不安を抱いていた。それはなんだったのか。
つまり、相手が悪魔だというのが相手の情報が昔の文献に頼るしかないのが問題だったのだ。
悪魔達がどのような者かも、どのような攻撃 を主にしてくるかも、一般的に発売されている伝記だけでは、一部の人間しか、詳しくは知れないのだ。
ただ、国王が勇者宣言時に悪魔の弱点は明確にさせている。光属性だ。
何らかの光属性の攻撃が大いに効くのだと発表された。
さらに、アリムが配った腕は自動で攻撃に光属性を付与するという。
これも冒険者達のモチベーションを上げることとなった。
______
___
_
当日、朝12時。
俺はミカを一旦マジックルーム入れて連れ出し、他の戦争に参加する人達同様に外に出ていた。
俺とミカは北口に配属された。
北口にはSSSランカーはいない。
その上、国王様達がこの場で戦うのだという。
正直、この人達を護りながら悪魔神と戦うのはきついかもしれない。
「ふむ…私もまだまだやれるというところを、見せてやろう」
そう、国王様は自信たっぷりで言っている。
悪魔達の狙いには自分も入ってるということを、国王様は理解してるのかしらん?
俺はとりあえず、ミカを瞑想させたまま騎士団長さんに預け、北口を守るために一緒に戦ってくれる人達を見て回ることにした。
「おひょぉ!? アリムたんだ!」
「え、まじで?」
「んん、愛でる以外ありえない」
数人、拠点作りの手を止め、俺の周りに寄ってくる。
男女比五分五分…と、言ったところか。
「皆さんっ! 頑張りましょうねっ!」
俺はつい、あざとい仕草をしたくなり、上目遣いや仕草、言葉でその場にいた人達を励ましてみた。
「あぁ…癒されるわ…この娘を見るだけで私、頑張れる」
「勇者だからって気張らずに! 危なくなったら逃げてね」
「かわいい……かわいい……」
「腕輪とポーション、ありがと」
女性陣には頭をなでられたり、ほっぺを突かれたりするのを受け入れる。
男性陣には俺を撫でようとした手に弾き飛ばすようにハイタッチをして撫でられないようにごまかす。
男の人に頭をなでられるのは抵抗があるんだよなぁ……女の子であるアリムが…ね。
ティールさんとか、ルインさんとか、ウルトさんみたいな知り合いのイケメンだったら、別にかまわないんだけれどね。
あと、みんな、俺にお菓子をめっちゃ渡してくる。
渡されるお菓子は今まで一切拒まなかったから、いつの間にか、俺がお菓子好きだってことになってるらしい。
貰えるものは貰っとけ精神だとか言えない。
そんなかんじで少し、兵の皆さんと戯れて1時間。
俺はものすごく眠くなり、国王様の元に戻った。
仮眠させてもらうためだ。
「騎士団長さん…ボク、仮眠しますね……」
「…いや、アリムはこの戦争の一番大切な要だ。睡眠欲求で戦いに支障が出たら困る。ゆっくり眠れ。その間に敵が来たら起こす」
「あぁ、はい、お願いしまぁ……す」
俺はミカが瞑想している隣に、野外用簡易寝床を敷き、そこに潜った。
ミカはあいかわらず魔力を集中させている。
きっと、この戦争が終わったらデートをしよう。うん。
俺はそんな事を考えながら、眠りについた。haiti
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます