第128話 尋問と行動


「まず、貴様らの目的はなんだ?」

「うぐ……悪魔神…サマイエル様を……勇者の剣から……解き放つ……こと…」



 即興で作った自白剤だが、かなり効果があったみたいだ。

 しっかりと、話をしてくれる。



「なぜ姫様を誘拐した?」

「……サマイエル様の……生贄にするため…メフィラドの血筋でないと…いけなかった……」



 それを聞いた王様が、拳を堅く結ぶ。怒りを必死に抑え込んでいるようだ。

 爪が食い込み、手のひらから血が滴っている。



「姫様はどこに居る?」

「しら……ない……」



 まぁ、この自白剤は効果ありまくりだからな。

 知らないことは知らないって言うし。

もしこいつが下っ端なら重要な情報は持たせないもんな。



「それは本当か? 出ししぶってる訳じゃないだろうな?」

「ち……ちがう……」

「騎士団長さん、ボクの自白剤は知らないことは知らないとしかいいません。一つの質問に時間をかけるより、別の質問した方がいいです」



 騎士団長さんは頷いた。



「わかった。なら質問を変えよう。貴様らの本拠地はどこだ?」

「ヘラの……森の……闇の……隙間……」

「どこだ? それは」

「木の影の……中……許可無き者は…入れない…」

「どうやったらそこに入れる?」

「…アイテムが…必要…」

「貴様は持っているのか? その影に潜むアイテムとやらを」

「持って…………ない」



 それに関しては俺が作れるだろう。



「あの、アイテムならボク、なんでも作れます。アイテムマスター…そういうスキルなんです」

「それは誠か…! ならその本拠地に突入する件に関しては問題なさそうだな」



 ここで王様が口を挟んだ。



「ならば、早くその本拠地とやらに突入しなければ。兵を準備しろ! 今すぐ突入する。こうしてる間にもカルアが何かされているやもしれん」



 俺は国王様をなだめるように言う。



「国王様、その心配はありません」

「アリムよ…何故だ?」

「ボクはカルアちゃんに、ボクが作った国宝級のアクセサリーを渡してます。この部屋にはそれがない、つまり今カルアちゃんがそれをつけてるということ」



 大臣さんがそのアクセサリーのことについて質問してくる。



「アリム殿、そのアクセサリーとはさっき言ってたカルア姫様の危険を知らせてくれたという代物ですかな?」

「はい。あれにはもう一つ、効果をつけてます。もしカルアちゃんを害する気で触れよう物ならば、あのアクセサリーは『大守護』という魔力の盾を貼るんです。その盾は仮に、SSランクの魔物の攻撃を受け続けようとも、1日は最悪持つはずです」

「そんなことまで娘にしてくれていたのか…アリムよ。感謝しよう。だが、まずは兵を集めろ。カルアを救出するぞ」



 ……そうだな、だが無駄に犠牲を出さない方がいい。ここはやっぱり……。



「いえ、王様。救出だけならばボク一人が行きますよ」

「な……なんと!? お前一人が敵の本拠地まで行ってカルアを助け出すだと?」

「心配は入りません。SSSランカーの皆さんによく言われるんです。ボクの実力はSSSランクはあるって。救出するだけでしたら無闇に城の兵力を削るより、ボク一人が行った方がいいでしょう」

「む……むむぅ…だが…」



 そこでミカも名乗り出た。



「アリムだけで心配なら、私も行きます。パラスナさん曰く、私の魔力量はSSSランカー並みだそうです。救出、SSSランカーレベルが二人なら、問題はないと思います」

「なに!? あの≪万能の大魔導士≫がか…? 分かった。ならば二人で…いや、念のために一人の信頼できる冒険者も行かせよう。やはり幼子二人だけでは心配だからな。大臣よ、バッカスを呼べ」

「はっ!」



 バッカスさんが来るまでの間、騎士団長さんが悪魔に尋問を続けた。

 その間に得た情報は以下の通りだ。



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・幹部は8人居て、そのうち4人が絶対的な力を持つ。また中堅幹部なる者も複数人居る。


・リーダー的存在の者の名はメフィストファレス。絶対的な力を持つ者の一人。他3人の名はベアル、バルゼブブ、ルシフエイル。


・のこり4人の幹部の名はアスモデンス、アスタロード、アモン、バリアル。


・この悪魔の群生の名は『シャイターン』で、悪魔神サマイエイルの復活と、人間を死滅させるのが目的。


----------------



 俺は最初、この悪魔達の名を聞いた時、つい『ゲームくさい』と考えてしまった。

 バルゼブブとかベルゼブブだろ。ベアルも多分バアルだし、ルシフエイルなんてルシファーだな。

 神話の悪魔とか堕天使の名前がすこし変わっただけじゃん。改めて、この世界はファンタジックだなと思わされた。


 だが、その名を聞いた騎士団長さんや王様達は皆んな驚いたような顔をしていた。

 皆んな、勇者とその仲間が倒した者の名前なのだそうな。

 やはり、なんらかが原因で悪魔が復活したとみていいだろう。


 しかも、文献によれば絶対的な力を持つ4人が相当強いらしく、ルインさんやリロさん達は青い顔をして、本当に大丈夫なのかの心配を俺にしてくれていた。

 こっちは透明になれるし、道具で気配も自由に消せるからなー。問題はないだろう。

 というか、俺とミカのステータスじゃ、何者にも負ける気はしない。

 

 騎士団長さんは、悪魔にさらにどうやって生き残ったのか、どうやって生まれてきたのか聞いていたが、闇からポーンって生まれたと、奴は答えたそうだ。本人もよくわかんないみたい。


 今度は俺が、悪魔に詳しい本拠地の場所を聞いた。

 それによると、ヘルの森の中に木と木が合わさり、まるで何かの入り口のようになっている場所があるらしく、そこに影に潜りこむアイテムを使えばいけるらしい。


 まぁ、確かに森の中でその場所を探すのは大変だけど、トズマホのマッピング機能を使えば問題ない。

 その場所、すぐに割り出してくれるわ。



 しばらくしてバッカスさんがやって来た。俺はバッカスさんに説明し、カルアちゃんを一緒に救出する作戦、扱う道具の説明などをした。



「分かったよ、アリムちゃん、ミカちゃん。ぼくも協力する。カルア姫様を助けに行こう」

「なら、まずはボクのマジックルームに入ってください。ボクがそのマジックルームを持って高速移動して、なるべく早くその場所まで行きます」

「わかった」



 ミカとバッカスさんは俺のマジックルームのなかに入った。

 国王様は俺らのその様子を見送りながら、声をかけてきた。

 誰かが抑制しなかったら、この人が敵の本拠地に突撃してたかもしれない。

 そんな勢いだ。



「たのむ、大事な娘なんだ。我が妻の形見でもある。助けてくれ…お願いだ」

「大丈夫です。カルアちゃんはボクにとっても大事ですから」

「…そうか、頼んだぞ」



 国王様は俺の手をゆっくりと握る。

 必ず、カルアちゃんを助けださないとね。

 国王様のためにも……友達として。

 俺は城からでて、街を後に、森まで全速力で急いだ。



___________

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 アリムが城を出てて行ってすぐ。

 国王様達の元に一人の兵士が慌てた様子でやってきた。



「こ……国王様っ! 大変です!?」

「む……? カルアが誘拐されたことなら…」

「へ!? そうなのですか? なんと……と、とりあえず気を落ち着かせてくださいね……」

「娘が誘拐される以上に悲しいことがあるものか。早く言え」

「わ、わかりました…。女王様が…身体が…何者かに盗…いえ、攫われましたっ……!」



 ……その場にいた全員絶句した。

 このことは、姫がさらわれたというこの絶望に、国王にとってのさらなる追い打ちであった。



「…………犯人はわからないのか?」



 騎士団長が、その兵士に問いた。


 

「わかりません。……人間も魔物も、安置所に通ったという知らせは受けてません」



 _____この国の女王……テュール、ルイン、そしてカルア、その3人の母であり、国王の妻の遺体は、丁寧に美しい姿のまま魔法やマジックアイテムを駆使し、腐らぬように保管されてきた。


 これは国王の願いである。女王は容姿・性格共に全国民に愛されていた。

 だがカルアを産んだ翌年に、なんの前触れもなく突然死んでしまったのだ。

 原因は未だにわかっていない。


 国王含め国民全員は最初、王妃が死んだことを認めず、病に伏しているだけだと自己暗示をし、全アナズム中から治せる者を探した。女王の仁徳を知っているアナズム各国の友好国の長達も協力してくれた……が、もちろん、治す…方法は見つからなかった。

 そして美しいその身体を、せめて、国王が死ぬまで残しておくために丁寧に丁寧に保管されていた。


 勿論、ここ12年盗もうとする者など現れなかった。死体を盗んだって仕方がないからだ。

 だが、念のためにその死体が安置されている場所には人間や魔物が近づいてきたら、自動撃退と警報が鳴らされるようになっていた。


 そう、人間でも魔物でもない悪魔はこれには該当しない。



「………可能性としては、また、悪魔か………」



 国王はそう呟いた。その顔はすでに、悪魔に対する怒りと恨みに満ちている。

 

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