EpisodeⅣ  遠い宇宙《そら》の向こうに

これまで 〈EP3各話〉のあらすじ

▼第一章  『さようなら〈じんりゅう〉』


 ついに〈じんりゅう〉へと襲いかかる超ダウンバースト。

 軌道エレベーターのピラーに掴まっていた〈じんりゅう〉は、スネークイドが身を呈して庇ってくれたことで、辛くもその第一波を切り抜ける。

 だが数十分後に襲い来る超ダウンバースト第二波にまでは、もうなす術が無かった。

 絶体絶命の〈じんりゅう〉。

 そんな中、何故か現深度よりも10キロも深い場所から、ナマコ・グォイドとの戦いで偵察に放った〈セーピアー〉からの信号が届く。

 ユリノはこの事実から、〈じんりゅう〉のいる深度よりもさらに10キロ下方に、謎の低気圧空間があることに望みをかけ、自らその深度へと潜航することを決断する。

 そしてその一方で、〈じんりゅう〉の得た情報の伝達と救援を求める為、キルスティをクィンティルラの駆る昇電に乗せ発進させるのであった。



 その数時間後、木星軌道上の〈ワンダービート〉にいたケイジは、突如接舷してきた〈ナガラジャ〉より現れたアイシュワリア艦長らに拉致同然に連れ出されてしまう。

 軌道エレベーターのピラー内を通過することで、何とか木星上空の〈ナガラジャ〉に回収された昇電のキルスティが、〈じんりゅう〉での【ANESYS】で得たケイジこそが〈じんりゅう〉救出の鍵となるという謎の確信を、アイシュワリア達が聞き届けた結果であった。

 わけも分からず連れだされたケイジであったが、〈じんりゅう〉の状況を聞き、困惑しつつも精一杯協力することを了承するのであった。









▼第二章  『インナースペース』


 低気圧空間があると信じ、決死の覚悟でさらなる深深度へと潜航する〈じんりゅう〉。

 追加装備のUVシールドコンバーターを失いつつも、何とか辿り着いたそこは、オリジナルUVDと同質の素材でできた直径4000キロのリングが、幾つもあつまって木星の赤道直下に形成された超巨大円環状低気圧空間【ザ・トーラス】であった。

 しかもその空間内には強力な磁力が働いており、内部の物体を周回加速させるシンクロトロンとしての機能を有していた。

 誰が何のために作りあげたのか、皆目分からない円環状低気圧空間に閉じ込められてしまった〈じんりゅう〉。

 さらに〈じんりゅう〉は【ザ・トーラス】の中で、月サイズの小惑星がグォイド・スフィア化したものに遭遇する。


 その一方で、クルー達は〈じんりゅう〉のピンチを救ってくれたスネークイドの生き残りが、艦尾格納庫に潜んでいたのを発見する。

 驚くべきことに、そのスネークイドは人語を解し、自らを“サティ”と名乗る不定形知的生命体であった。

 おそろしく友好的な彼女は、クルーに自らの出生を話して聞かせる。

 彼女は人類のとある勢力が、木星オリジナルUVDから採取した原初グォイド細胞と、人間の遺伝情報を掛け合わせて生み出した雲の人クラウディアンなのだという。








▼第三章  『眼下の脅威、頭上の脅威』


 ケイジは自分なりに考え、〈じんりゅう〉救出のアイデアをテューラ司令やノォバ・チーフに進言する一方で、木星を観測しているVS艦隊ファンのネット上での書き込み内容とデータから、間接的に木星内にシンクロトロンの機能を備えた円環状低気圧空間が存在することを掴む。

 そして同時に、現在木星軌道上にいる全SSDFはもちろん、内太陽系全人類に危険が迫っているという結論に達してしまう。


 一方、アイシュワリア艦長率いる〈ナガラジャ〉は、大赤斑上空にてなんとか〈じんりゅう〉との連絡をつけようと試みていた。

 その最中、先の戦闘で不覚をとったリバイアサングォイドと再遭遇する。

 今度こそ仕留めようと攻撃を仕掛けんとする〈ナガラジャ〉。

 だがその時、リバイアサン・グォイドの姿が突如変貌を始めるのであった。




 まさにその時、サティの協力により軌道エレベーターのピラーを用いることで、一時的に通信を確立させた〈じんりゅう〉から、木星軌道上の全SSDFは直ちに避難せよというユリノの通信が届く。

 木星赤道直下にある円環状低気圧空間は、グォイド・スフィアを弾体として撃ち出す為の惑星間超巨大レールガン用の円環状電磁加速装置シンクロトロンであり、赤道真上まで移動した大赤斑は、その砲口となって、人類に超巨大UVキャノンを放つことになるからだ。

 しかし、その連絡も虚しく、大赤斑より強力極まりない極太のUVキャノンが放たれ、木星軌道上のSSDF艦隊基地のいた位置に襲いかかった。








▼第四章  『ユピティ・ダイバー』 


 大赤斑より、円環状電磁加速装置シンクロトロン【ザ・トーラス】内を周回するグォイド・スフィア弾が放ち、そして加速された超強力なUVキャノン――木星UVユピティキャノンが迸った。

 しかもそれは、リング状に変形したリバイアサン・グォイドによって射角の変更がなされ、大赤斑の真上以外も標的にすることが可能となっていた。

 しかしその輝きがSSDFの艦と人名を奪うことは無かった。

 事前にユリノとまったく同じ結論に達していたケイジの進言により、テューラが木星SSDF艦隊を避難させていたからだ。

 その経緯を他ならぬケイジから聞かされ、二重に驚愕するユリノ達〈じんりゅう〉クルー。

 ケイジから必ず救援に向かうことを聞かされた後、一時的に繋がっていた通信は再び途切れてしまう。

 さらにその過程で、船外から【ザ・トーラス】の外に出て通信確立に協力していたサティも行方不明になってしまった。


 再び隔絶される〈じんりゅう〉と木星上空のSSDF面々。


 テューラ司令はケイジ発案の木星深深度雲海潜航艦〈ユピティ・ダイバー〉を急造、ケイジとクィンティルラを乗り込ませ〈じんりゅう〉の救助に向かわせるその一方で、木星にいる全SSDF艦を用いて、リバイアサン・グォイドの殲滅と、グォイド・スフィアをその弾体とした木星からの惑星間レールガンの発射を阻止すべく、大規模な攻撃作戦・『一つの指輪ワン・リング』作戦を敢行するのであった。








▼第五章  『大赤斑・大決戦』


 ついに開始される『一つの指輪ワン・リング』作戦。

 木星SSDFが保有するありったけの実体弾とUV弾頭ミサイルを持ちいり、リバイアサン・グォイドの撃破が試みられたが。

 が、敵グォイドもただでは沈まず、木星UVユピティキャノンによる反撃により窮地に陥ったテューラ率いるSSDFは、アイシュワリア艦長率いる〈ナガラジャ〉の【ANESYS】に最後の希望を託すのであった。


 その一方、木星への潜航を開始した〈ユピティ・ダイバー〉は、【ザ・トーラス】に向かう途中で、〈じんりゅう〉と出会い、木星十空のSSDFとの通信を繋げた際に離れ離れになったというサティと思わぬ邂逅をはたす。








▼第六章  『めぐりあいトーラス』


 サティと共に〈じんりゅう〉とのランデブーを急ぐべく、ついに【ザ・トーラス】内へと突入した〈ユピティ・ダイバー〉。

 彼女らを待っていたのは、円環状空間内を一周するように迸るUVキャノンの光であった。

 それは【ザ・トーラス】内を周回しながらグォイド・スフィア弾を監視していたはずの〈じんりゅう〉が、グォイド・スフィア弾からの木星UVユピティキャノンの発射から、木星上空のSSDFを守るべく、攻撃を仕掛けた〈じんりゅう〉主砲UVキャノンの輝きであった。

 〈ユピティ・ダイバー〉は、グォイド・スフィア弾から放たれる多数の軽駆逐艦グォイドとの激戦を繰り広げている最中の〈じんりゅう〉の元へ、決死のランデブーを試みる。

 そしてケイジの発案により建造された〈ユピティ・ダイバー〉の真の能力が、今発揮されようとしていた。






▼終章    『木星より永久に』


 〈ユピティ・ダイバー〉より新たなるUVシールドコンバーターと、艦尾に接続された木星オリジナルUVD固定用のシュラウドリング付大型ノスルコーンを受け取ることで、大幅にパワーアップのなされた〈じんりゅう〉は、クルーにケイジを加えた上で【ANESYS】を敢行。

 地球圏へ向け、惑星間レールガンとして放たれんとしていたグォイド・スフィア弾の発射をギリギリのところで阻止することに成功した。

 しかし、未だ撃破の叶わなかったグォイド・スフィア弾は、今度は水星を標的に今一度惑星間レールガンとしての発射を試み始める。

 水星には人類の大規模人造UVDプラントがあり、そこを破壊されることは人類の敗北を意味していた。

 しかし、もはや〈じんりゅう〉にグォイド・スフィア弾を撃破する術は無いように思えた……その時、ケイジが一つのアイデアを出すのであった。





▼エピローグ『この宇宙の片隅にて……』


 木星の深深度からなんとか脱出し、辛くもグォイド・スフィア弾の撃破を成し遂げた〈じんりゅう〉であったが、同時に超高速慣性航行によって、グォイド本拠地たる土星圏をフライバイで強攻偵察する羽目になってしまっていた。

 土星圏に着くまで束の間の平穏を享受する〈じんりゅう〉のクルー達。

 しかし、クルー達は未だ記憶の戻らぬケイジと艦内で過ごす日々に、心がそわそわして仕方が無くなっていた。

 ケイジとクルーの事を案じたサティは、エクスプリカと協力することで、ケイジの記憶を取り戻すべく一計を案じる。







▼短編 『カオルコ少佐の災難 あるいはVS艦隊クルーの服装事情』


 土星圏へと向う旅路の途中、緊張と退屈が入り混じった生活が続く〈じんりゅう〉の中で、操舵士のフィニィは【ケレス沖会戦】時に話が出た〈じんりゅう〉回顧録の執筆を任されてしまう。

 気乗りしないながらも断れなかったフィニィは、まず自分が執筆した場合のお試し版として、半年前の第五次グォイド大規模侵攻迎撃戦の直前に、カオルコ少佐の身におきた、とある恥ずかしくも笑えない出来事を書いてみるのであった。


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