第7話 監視台からの遠景

 未来の野生観察官は、自分の体に毒素を打ち込んでいた。

 この毒素で、野生動物から身を守るのだという。

「毒をもつものほど繁栄する。不味いものほど繁栄する。これは進化の法則だね」

 野生観察官の毒を恐れて、彼らに噛みつく猛獣や蚊は一匹もいない。

 さらに、噛みつかれたのだとしても、彼らの肉は非常に不味く、とても食べようとするものはいないのだという。

 野生観察官さんにいわせると、人類の肉はどんどん不味くなるべきなのだそうな。不味い肉になることが、文明なのだそうな。

「けほっ、けほっ」

 野生観察官の毒をくらって、ライオンがむせぶ。人を食べてはいけないことを学修させているのだ。

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