mission12 時の追憶・そして契りは交わされた

mission12-0 時の追憶・そして契りは交わされた



 ……そうか、ついに話すと決めたのか。


 時の追憶のすべて——私と、と、そなた、私たちの間でどのような契りが交わされたのかを。


 クロノバース三七六年、ミトス創世暦にして九八九年。『終焉の時代ラグナロク』が訪れたその年に、時の島で何が起きたのかを。




 たしかにあの仮面の男の言う通りだ。


 "神格化"に必要な代償は、共鳴者の共鳴者たりえるもの。


 そなたは「記憶喪失のルカ・イージスでいられる権利」を代償として捧げた。


 そして、本来持っていたはずの"神格化"の力を取り戻したのだ。




 ……そうだな、そろそろ「そなた」と呼び続けるのも限界か。


 なぁ、時の神クロノスよ。


 本来の自分を取り戻した今、共にいる仲間たちに何を思う?


 そして、その身体の持ち主に対しても。




 私にはただ、時の追憶を紡ぐことしかできぬ。


 それでも少しばかり願ってしまう。


 この記録が、我が友キーノ・アウフェンと、義賊ブラック・クロスの進む未来を照らすものであるようにと……。




 さぁ、見届けてくれ。


 時の島の最期の瞬間を——



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