第94話 商業ギルド
村を離れてから数日後、無事町に着いた。で、競売をする場所は何処か町の人に聞くと、商業ギルドだと言われた。
「商業ギルドなんてあったの?」
「基本的に店を出したり、商品を売ったりする人は登録しないといけない場所ですね。テツジョウさんは譲渡だったので加入せずとも大丈夫でしたけど」
王女が商業ギルドについて教えてくれた。でも、それだと銃作ってもらった時って危なくない?あれ、ちゃんとお金渡して作ってもらったものだし……。ま、まあ、バレなければどうという事はない。
「で、その商業ギルドって何処にあるの?」
「マスター、私が案内致します」
下見を済ませているらしいクロが案内してくれた。商業ギルドは冒険者ギルドの前にあり、協力してやっているらしい。
建物もかなり大きく、内装は冒険者ギルドとよく似ていた。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
色々と見ていると、受付の人がこちらに話しかけてきた。
「近々競売があるって聞きまして」
「なるほど。競売ですね。入札希望ですか?出品希望ですか?」
「出品も出来るんですか?」
「そうですね。入札希望者は冒険者ギルドか商業ギルドに、出品者は商業ギルドにご登録していただく決まりが御座います」
「商業ギルドに登録するには?」
「ご自身が扱いたい商品を幾つか見せていただき、基準値以上の物を提示していただければご登録する事が出来ます」
「……その場合、盗品とかで基準値以上のが出ちゃう場合があるのでは?」
「盗品かどうかを判別する魔法道具が御座います。盗品を出せば一発でアウトですね」
なるほど。ちゃんと出来てるんだねぇ。
「なら登録していいですか?競売には入札と出品の両方に出たいので」
「はい、それでは奥の方までお願いします」
受付の人について行き、一つの部屋に通される。そこには若い男性が一人、忙しそうに働いていた。
「ナディウム、新規登録者です。鑑定のほどよろしくお願いします」
「ええええ!?これ以上の仕事は無理だって!?」
「競売の商品の鑑定で忙しいのは分かりますが、普通の業務の方もやってもらいます」
「うぅ……」
あぁ……。幸薄そうな人だなぁ……。
「ふぅ……。君が登録希望者かい?商品を見せてもらいたいけど、今あるかな?」
「ああ、はい。どうぞ」
今回出品に回そうと思っていた物は全て暗闇から魔法のバックに移してある。素材も魔物から取って『錬金術』で金属にした物を使用しているので費用はかかっていない。とりあえず基準値以上にならないと登録すら出来ないらしいから、それなりに珍しいであろう物を出していく。
『紅竜の魔剣』
『魔剣・水月』
『風刀・椿』
『炎刀・紅』
『烈旋風斧』
このくらいかな。自信を持って出せるの。
「こんなもんでどうでしょうか?」
「ちょっと待ってね……」
ナディウムと呼ばれていた男性が一つ一つじっくりと何かの器具を使いながら僕の出した物を見ていく。一回一回丁寧に、時間をかけてゆっくりと見ていく。一つ終わる毎にその時間は長くなり、それなりの時間が経った。
「……終わったよ」
「どうでしたか?」
「こんな事しか言えないけど、凄いよこれは。どれも基準値以上、いや、今回の競売で主品目として扱えるくらいの出来をしてる。これ、君が作ったんだよね?」
「はい」
「ナーリー、この人、凄いよ。登録を済ませて出品してもらおう。これはあった方がいい。あ、もし君がこれを出品したくないっていうならしなくてもいいけど」
「あ、いえ、ここに出したのは全部出品するつもりです。ここに出したの以外にも出すつもりですよ。少し見劣りしますけど」
「それなら早く登録を済ませよう!ナーリー、早く!」
「はぁ……。分かりましたよ。基準値以上らしいので商業ギルドでの登録を認めます。ひとまずはこの商品をお仕舞いください。登録後、出品商品をひとまとめで提示していただきますので」
という事らしいので、出した物を全て仕舞う。その時にナディウムさんがあぁ……と悲しそうな顔で見つめてたけど、うん、お仕事頑張って下さい。多分、後でまた武器達とは会えるでしょうから。
奥の部屋から出て受付に戻り、書類に必要事項を記入して、カードが発行される。
「そのカードが商業ギルド登録の証となります。失くさないようお気をつけください。それと、冒険者ギルドとは違い、こちらにはランクというものが御座いません。登録が解除されることもありませんので、よろしくお願いします」
あぁ、ランクないんだ。あったら少し上げようかと思ってたんだけど。
「それでは、同時に出品の方も行いましょう。ついてきてください」
先程とは違う部屋に案内され、出品内容と書かれた紙に出品するつもりの物を書いていく。
「出品する商品はここにお出しください。当ギルドが責任を持って競売日まで保管しておきます」
袋を出されたのでその中に入れていく。どうやら魔法の袋のようで、それなりに容量が多いらしい。
「落札された場合、金額の3割がギルドに支払われ、7割が出品者の手元に渡ります。競売は合わせて5日間行われますが、ご希望の日に出品できますが、どうしますか?金額は落札されたその日にお渡しすることになりますので、お早めに出品していただければ、後の日にお使いする事が可能ですが」
おお、落札日にお金が貰えるのか!それなら後半、欲しいものが買えるかもしれない!なら、初日とかに出すのがいいかな。
「それじゃあ、初日と、2日目に多めに。後は最終日でお願いします」
最終日にも出すのはまあ、最終日だしお金を使おうという人がいるだろうからだ。僕の自信満々の5つの武器達は『烈旋風斧』は最終日で、それ以外は初日に回してもらう事にした。
「競売は5日後になります。入札の方にも参加されるとの事なので、こちらをお渡ししておきます」
渡されたのは番号札だった。入札するにはこれが必要らしい。
「こちらは失くされても代わりのものを発行出来ますのでご安心ください。それでは、5日後の競売を楽しみにしていただければ」
その後、僕の他にもみんな入札の登録をして、商業ギルドを後にした。どうやら、競売までの5日間、冒険者ギルドの依頼を達成してお金を稼ぐらしい。僕も初日にも参加したいしお金稼ぎといこうかな。
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