第87話 次の目的地と報酬
ポートの復興が完全に終了した。クラスメイトも次第に、集まる前にしていた事の続きをするために旅に出始めた。その時に、バラバラだったクラスメイトも折角会ったのだからとパーティーに入り、クラスメイトパーティーが幾つか出来ていた。
僕達といえば、これからどうするか話し合っていた。
僕は少し、ゲイルに会いたい用事があるため、獣人大陸に行きたいと思っている。その途中でダンジョンもあれば攻略したいとも。ミアとクロ、アカは僕の決定に従うそうだ。
そして、 隼人達は僕と一緒に行動したいらしい。なんでも、僕を見えない所に置いておくと必ず無茶をするから、だそうだ。
ただ、ここで問題となるのが王女だったりする。王女は神代君と共に冒険するために僕達に付いて来た。神代君が僕と行動を共にする以上、僕達に付いて来るという事なんだが、あれで王女なのだ。別の大陸に連れて行ってもいいのか、という問題が生じる。
王女に国王へ連絡を取ってもらい、聞いてみたが、判断に困る、といった感じだった。どうも、敵対している訳ではないから大丈夫だと思うのだが、相手側がどう思うか、こちらからはわからない、といった感じだ。もしかしたら敵対したと思われるかもしれない、というわけだ。
一応、どの種族も魔王を倒す事が最優先、他と争っている暇はない、という事で協定を結んであるらしい。魔王を倒すのに、ダンジョンの奥にあるクリア報酬はあるだけ役に立つと考えられているため、人の出入りを許可しているんだとか。
ただ、普通の冒険者と王族が入るのは違うという事だ。
「どうする?王女様は来たいんでしょ?」
「……はい。神代様と共に冒険がしたいです」
「すみません、国王様。大陸に入るのに何か特別な事をしたり、証明書みたいなものは渡されたりしますか?」
『いや、ないはずだ。魔族かどうか調べる検査器のようなもので調べられるだろうが、それだけだろう』
むむ……。それはちょっとミアが危ないな……。
「もしそれに引っかかった場合、どうなります?」
『魔法で経歴を調べ、特に問題を起こしていない魔族なら大丈夫だ』
あ、それならミアは大丈夫だね。それに、調べられるだけなら考えてる手立ても使えるかな。
「暗闇の中に入ってもらって検査を終えたら出てきてもらう、これなら入った事バレなくて済むよね」
「マスター、その場合、万が一バレたら不法入国、敵意があると取られても言い訳が出来ず、逆に危険かと。それにどうせ冒険者ギルドでカードを出してしまえば名前などで特定されるでしょう。堂々としていた方がまだいいと思います」
む……。確かにそうかも。
「という事だけど、どうしようか?」
「そのまま行く事にします。大丈夫です。迷惑はかけません」
「ああ、王女様。そんな気を張らなくても大丈夫ですよ。鉄といると必ず迷惑事が降って湧いてきますから」
「そうね。昔から鉄条君といると色々あって大変だったよ」
「テツ君の昔の話、もっと聞きたいです!」
「奥様、マスターの主観でよろしければ記憶を共有している私からお話する事も可能ですよ」
隼人と仲原さんがそんな事を言う。僕、そんな事ないと思うんだけど……。
それよりミアとクロ、きみらは後で話がある。
「テツジョウさんは〜、獣人大陸に向かうんですね〜」
話が逸れかけていた時にギルドマスターであるアンシアさんが話しかけてきた。
「そうですね」
「報酬の件は〜、どうするんですか〜?」
「あぁ、そういえば復興した後に貰うって事にしてましたっけ」
すっかり忘れてた。最近ずっと忙しかったのが悪いと思うけど。
「こちらから出せるのは〜、リン、お金、朔月望月ですね〜」
「えっ!?リンに朔月望月って何言ってるんですか」
「いえいえ〜、私の判断じゃないんですよ〜。リンが〜行きたがってるんです〜」
リンが?あのアンシア一番の?アンシアと離れる事になるのに?
「どうしてですか?」
「恩返しがしたいそうですよ〜」
恩返し?特に返されるような恩なんてないと思うんだけどなぁ。こっちも色々としてもらったし。
「特に恩なんてないと思うんですけど」
「テツジョウさんがそう思っていても〜、リンはそう思ってないんですよ〜」
「まあ、そうですけど。そのリン本人は今どこに?」
「急いで準備してますよ〜。復興が終わってもすぐには出て行かないと思っていたんでしょうね〜」
あー、クラスメイトみんなが一気に手伝って早く済んだから早く出ようと思っただけなんだけどね。本当ならもうちょっと時間かかるはずだったし。
「まあ〜、そういう事なので〜、リンの事よろしくお願いしますね〜」
「あ、決定事項なんですか」
「リンは戦力になりますからね〜。それに、リンは知ってるんですし〜。断るとは思えません〜」
あー、吸血鬼ってところか。リンはそういう事を言いふらすような人じゃないって信頼してるから別にいいんだけど、戦力は欲しい。それに朔月望月、クロと『十字架に悪魔と鎌』のマークがあるのは出来るだけ近くに置いておきたいのも確かだ。断る理由はないか。
「まあ、断りませんよ。国王様が色々としてくれたおかげでリンも動きやすいでしょうし」
「……待たせた。ごめんなさい」
「大丈夫だよ。これから獣人大陸に行く事になった。行こうか」
「……ん」
僕、ミア、クロ、アカ、リン、隼人、仲原さん、神代君、美智永さん、近藤君、王女の11人の大所帯で獣人大陸を目指す事になった。
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