第66話 修行
その後もメンバーにクロの存在を伝え、様々な反応を貰った。一番多かったのはクロに関してではなくずっと僕に引っ付いているミアへの反応だったが。
「レオンさんは何処いるか分かんないし、後は出来る事をしようか」
「マスター、現在マスターの力が必要な場面はないと思われます」
「ですね〜。私もテツ君はゆっくりしてていいと思います」
えぇー……。手持ち無沙汰なのはなんか嫌なんだけどなぁ。
「マスター、このポートでする事が無いのなら、マスターは修行をして強くなるべきです」
「修行か……」
確かに僕には力が必要だと思う。今のままじゃ血を相手の体内に入れられない場合決め手に欠けるからね。
「うん、そうだね。しようか修行」
「私も付いて行っていいですか?」
「もちろんいいよ。その前に誰かに伝えておかないと。それとダンジョンでした方が効率がいいから使用許可も貰わなきゃ」
「マスター、それは全て終えています。私がやっておきました」
なんと。そんな素振りを見せなかったが、いつの間に……。
「『忍者』の忍術を使用しました。分身の術というものです」
僕より完璧にスキルを使いこなしているな……。今度教えてもらおう……。
「許可があるならいいか……。それじゃあ行こう」
ダンジョン前まで行き、クロが自前の暗闇から紙を取り出し待機している人に渡し、中に入る事が出来た。
「1階層は1本道だしすぐに突破しちゃおうか」
「いえ、ここにはゴブリンやゴブリンメイジが出ます。マスターがまだ持っていないスキルを得るいい機会です。取れるものは全て取っていきましょう」
「あ、うん」
修行と言うから下の階層で沢山の魔物と戦うと思ってたんだけど……。
「ゴブリン系はマスターが処理してください。スライムは私と奥様が処理します」
なんかクロの指揮で色々と決まっていくな。なんだこのメイド。優秀じゃないか。貰っておいて良かったよ。
やっぱり良くなかったよ!多すぎだよ!ゴブリン多すぎ!先が見えないほどゴブリンで階層が埋まってるよ!
「て、テツ君〜。私もう限界です〜」
「僕、だって、キツイ、よっ!」
ミアはスライムの大群を僕はゴブリンの大群をそれぞれ相手にしている。ゴブリンの方はメイジ等も混ざっている。このゴブリンとスライム、集めたのは全てクロだ。
一匹一匹は大したことのない魔物なのに数が集まるとかなりの苦戦を強いられる。数発もらっても基本大丈夫なレベルだし、『自己再生』で回復するが、体勢を崩されて物量で攻め込まれたら一巻の終わりだ。
「ちょっ、クロ!手伝って!」
「マスター、私は私の方で手一杯です」
嘘だ!基本棒立ちで流れ弾が自分の方に来た時だけ対処してるくせに!
「それに私はマスターと奥様ならば出来るという数をしっかりと考えて連れてきました。多少の無茶は必要でしょうが出来るはずです」
なんだこのスパルタ!?ああ、もう!やってやるさ!
ふぅ。なんとか、終わったぁ……。終わりが見えてきた時にさらに増えた時は流石にダメかと思った。
「ミアも、お疲れ様」
「はい……。まさか、1階層でここまで疲れる事になるとは思いませんでした……」
「お疲れ様です。マスター、奥様。マスターの代わりに『吸血』でスキルを取得しておきました。奥様が回復なさるまで休憩に致しましょう」
全部取り仕切ってるなぁ……。にしても新しいスキルかぁ。まだ今あるスキルも全てを満足に扱えてるわけじゃないのに何が増えたんだろう。
鉄条 零 『人族(吸血鬼)』
男 レベル80
スキル:『吸血』『自己再生』『血液譲渡』『血液操作』『隠蔽』『魔力把握』『土魔法』『雷纒(大)』『怪力』『短剣』『危険感知』『気配感知』『鑑定の魔眼(大)』『雷魔法』『糸』『毒糸』『鍛冶』『雷歩』『クイック』『スロウ』『闇』『透明球生成』『透明球操作』『黒球生成』『黒球操作』『浮遊』『遠視』『風魔法』『氷魔法』『炎纒』『土纒』『炎天土天』『忍者』『重力場(小)』『暗殺技』『火魔法』『水魔法』『回復魔法』『聖魔法』『分裂』
称号:『転移者』『目醒めし者』『吸血鬼』『真祖』『血を操る者』『群潰し』『雷人』『力持ち』『強化種殺し』『闇に紛れる者』『糸使い』『魔法道具作製者』『韋駄天』『魔族殺し』『竜殺し』『忍者』『炎人』『土人』
うわぁ。魔法が沢山増えてる。ゴブリンメイジから取れたんだろうなぁ。それに称号も増えてるし。称号ってなんの意味があるんだろうなぁ。能力上がってたりするのかな?で、一番気になるのが。
「……『分裂』ってなに?」
そう。新しく追加されていたスキルに『分裂』というものがあった。ゴブリン、ゴブリンメイジ等から得られるスキルじゃないと思うんだが……。
「それはスライムに『吸血』をした際に得たスキルでございます」
「え!?スライムに『吸血』出来るの!?」
「マスターには無理だと思います。マスターの場合は吸血鬼のため『吸血』は血を吸うものであり、その結果としてスキルを得ますので」
「ならクロは?」
「私の場合、動くのに魔力が必要でございますので、対象の魔力を『吸血』するので、スライム等の血を持たない魔物からも吸血が可能でございます」
「へぇ〜」
人である僕と魔法道具であるクロの違いって事か。にしてもこれは嬉しいぞ。これならこのダンジョンにいる全魔物のスキルを手に入れる事だって出来る!
「あ、私もレベルが上がってます!」
「おお!かなり頑張らないといけないけど、この修行方法いいかもね」
「ですね!」
「残念ですが、マスター、この方法は敵が格下だから出来る方法です。奥様の事を考えると3階層以降からは出来ないと思ってください」
「そっかー。なら2階層もこの方法でやろうか」
「承知しました」
強くなるために頑張ろうか……。
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