第22話 依頼達成

 どうやって探し出そうかねぇ。一つの手段として、前みたいに仮面とかして酒場のマスターのとこに行くっていう手があるんだけどなぁ。僕もう酒場のマスターと会っちゃったし、声と背でバレそうな気がするんだよなぁ。というかあの会った時に既にバレてるかもしれないし。ミアに何かあったらまずいのでこの案は使えないね。あっ、ギルド長に酒場のマスターの事言えばよかった。失敗したなぁ。


 とりあえず気配感知を使いながら街の中と周辺を適当に探してみるか。あ、その前にミアには今日は宿に居てもらうか。宿ならおばあさんいるし大丈夫だろう。あの人相手に回したら絶対やばい人だし。



 気配感知に引っかかったとこから確認してるけど全然見つからない……。気配を殺せたりしたら感知に引っかからないとかあるのか?それともスキルとかの影響か?うーん、どうしたもんかなぁ。

 黒服に化けてそれとなく歩いてみるか?けど手持ちに服ないんだよなぁ。こんな事なら酒場に置いてくるんじゃなかったな。


 少し王都の方に戻るけど、あの時倒した黒服達がどうなってるか見に行くか。もし放置されてたら服回収しよう。



 あー、やっぱり回収されちゃってますよねー。回収したのは王都かアンヨドか黒服か。多分、黒服達だろうなぁ。さて、困った。どうしようかな。今度は隠蔽使って姿消して感知で探してみようかな。



 ビンゴ!発見〜。さっきも見た場所なのにねぇ。隠蔽使って探すのと使わないで探すのにこんなに違いがあるとはなぁ。使ってない時ってもしかしたら逆に感知されてて逃げられてたのかもなぁ。とりあえず捕縛しますか。数はひーふーみーよーいつ。うん、5人だね。隠蔽かかったまま、雷纒で背後から気絶させる。1人1人ロープで手足、腕と胴をキツく縛って捕縛完了。糸でやってもいいかなぁとか思ったんだけど、色々面倒事が起きそうだから止めておいた。


 とりあえずこの5人だけでもギルド長の所に持って行くか。えーっとギルド長の気配はっと。ん?ギルド長誰かと戦ってる?怪力で雑ながら黒服5人を持ってギルド長の下へ向かう。



 ギルド長と戦ってたのは酒場のマスターだった。ギルド長の方も情報は掴んでたのか。僕どうしたらいいのかな。加勢でもした方が良いのかな?でも普通にギルド長が優勢みたいだしなぁ。近くにある気配を全部周って黒服狩りするか。ギルド長が勝った後に油断して……なんてことがあったらまずいし。


 ギルド長と酒場のマスターの戦いが終わるまでで、僕は黒服を10人以上捕まえた。5人も足すと20を超える。いすぎじゃない?黒服って別の所にもいるんでしょ?ただの盗賊にしては数が多すぎる。ちょっと注意しておこうか。


「お疲れ様です」


「ん?ああ、キミか。もしかして見てたのか?」


「少しだけですけどね」


「そうか。依頼の方はどうだ?俺の方はあまり首尾よくいってなくてな。こいつが黒服と繋がりがあるっていう情報を得たから捕縛してたんだが」


「僕の方はこんな感じですかね。酒場のマスターはリーダーだと、この街に来る前に黒服から聞き出してたので、お手柄ですね。でも多分、この辺りのリーダーってだけで組織的にトップなわけじゃないと思います」


 黒服20人くらいを1つのロープで縛って怪力を使ってギルド長の前に置いた。そのまま僕の考えを口にしてたらなんかギルド長がポカンとしてるんだけど。どうしたの?


「えっと、どうしました?」


「いや、なんだ。凄い手際だと思ってな。動き始めたのが同じなのに差がありすぎて驚いてるんだ」


「ああ、そういう事ですか。ただ運が良かっただけですよ。気配感知で探し回ったら見つけたってくらいです。この黒服達全員気絶させてありますから、今のところ危険性はないと思います。武器とかは全部奪っておいたので。でも目覚めたら魔法系のスキルを使われる危険性があるので、そこは注意してください」


 黒服から奪った弓やらナイフやらを全てギルド長の前に置く。これもロープでひとまとめにしておいた。ひとまとめにしないと嵩張って持ち運べないんだよね。『空間魔法』欲しいなぁ。誰か悪い奴で持ってないかなぁ。


「こいつら全員魔法封じの牢屋に入れておくから、そこは安心しておいていい。この武器とかは1度ギルド内で預かろう。黒服に奪われた物だとしたら返還してやりたいからな。とりあえず牢屋へ行こう。黒服を運ぶのは任せていいか?」


「はい、大丈夫ですよ」


 黒服を縛っているロープを持つ。これロープが千切れないか心配だね。ギルド長は武器の方を持った。そういえば牢屋ってどこにあるんだろう?吸血鬼が夜に出てた時と今回とで街の中をかなり周った気がするけどそんな感じのもの見なかったんだけど。


 ギルド長が先頭で向かってるんだけど、ギルドの方向に行ってる気がする。ギルドが見えてきたね。その横の建物が牢屋らしい。魔法封じの牢屋って言ってたけど、どのくらい使えなくなったりするのかとか確認したいなぁ。さすがにしないけどね?魔眼で調べたら封魔石っていうので作られてるらしいから探してみようかな。魔眼は発動出来たし、きっと魔法限定なんだろうね。


 全員収容完了。情報を引き出すのは目が覚めてからにするらしい。一応黒服全員に血を入れておいたけど、脱獄されないように注意はしといてほしいね。


 隣がギルドだと移動楽でいいな。隣にあるのってそういう理由だったりするのだろうか?


「よし、それじゃあ報酬だ。これをやる」


 渡されたのは丸い水晶みたいな物だった。なんだろうこれ?


「えっと、これなんです?」


「知らないのか……。それはなオーブって言ってな。その中にスキルが封印されてんだ。そのオーブに魔力を流す事で封印を解いて、中にあるスキルを手に入れる事が出来るっていう便利アイテムだ。そのオーブには鍛冶のスキルが入ってる」


「えっ……そんなアイテム貰っちゃっていいんですか?凄く価値がありそうな気がするんですけど」


「ああ、報酬だからいいんだ。それに鍛冶スキルなんてあんま欲しがる奴がいなかったからな。まあ、価値的にいえば金貨100枚くらいだったろうが」


 金貨100枚だと……!?僕が金貨10枚で喜んでいたのにその10倍だと!?オーブ、恐ろしいな。


「こういうのって作られてるんですか?それとも何処かで取れたりするんですか?」


 気になったので訊いてみた。


「こういうのは全部ダンジョン産だな。さすがに作れるやつはいないだろうよ。いたらかなり有名になってるだろうからな」


 ダンジョン産か。クリアされてないダンジョン行ってみたいなぁ。あわよくばクリア出来たら的なね。


「ここから一番近いダンジョンってどこにありますかね?」


「なんだ?ダンジョン行きたいのか?まあレベルを上げたりするには最適な場所だしな。一番近いとこってーと、あれだな。王都を上から見た時にアンヨドの反対方面にあるな」


 マジか……。それじゃあ一回王都に帰ることになるのか。隼人達は大丈夫だろうか。心配だしもしまだ王都にいたら一緒にダンジョンの所まで行くか?ミアも別に気にしないだろうし。


「王都方面じゃない方だとどうですか?」


「んー、そっちはかなり遠くになるな。街を2つくらい越さなきゃいけないくらいだ」


 それは確かに遠いな。うん、王都方面の方に行くか。王都で資材集めて鍛冶スキルを使って武器を作ってみよう。


「ありがとうございます。そうだ、黒服の事ですけど、多分ここら辺にいる奴全員を捕まえたわけじゃないと思うので、警戒はしておいた方がいいかと」


「ああ、もちろんそのつもりだ。助かった。ああ、そうだ。これを返しておかなきゃな。ランク上げ作業が終わったみたいだ」


 ギルド長からカードを受け取る。銀ランクになってるねぇ。なんかこれが元になって厄介事が起きなければいいけど……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る