世界が僕らから孤立する 対幻想機神

コミナトケイ

プロローグ 廃人の歌

0

「……ぼくが真実を口にするとほとんど全世界を凍らせるだろうという妄想によって、ぼくは廃人であるそうだ、か――」



 ――2047年。宇宙ステーション。


 人類が地球外に進出し、火星やほかの星への移住する足がかりとして建設されていたこの巨大な『箱物』。


 多くの人の夢を乗せ建設されたであろうはずなのに今はもう、かえりみる人はいない。もしかしたら知らない世代さえいるかもしれないくらいだ。


 見通しが甘かった。宇宙ステーション所長という『閑職』に追いやられて以降、なぜこういう事態を想定できなかったのか。

 いや、頭の中では勘付いていたが、認めたくなかったのかもしれない。

 研究家としては一流だが人の心については何も学んでこなかったのだなと言われたりもしたか……懐かしいものだ。

 今にして思うと、それはまったくもって正しかった。

 

 ボクはこの宇宙ステーションに『捨てられた』のだ。

 

 もうここでまかなえる食糧は底を尽きかけていた。ならばぼくに残されていた選択肢は、「それ」以外に考えつかなかった。


 せめて、こどもだけでも生き残れるように――



 あの光はちょうど日本あたりだろうか、夜が明ける。



 ごめんな、ナギ、ナミ……。カヤ……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

応援した人

応援すると応援コメントも書けます

ビューワー設定

文字サイズ

背景色

フォント

Androidでは正しく
設定できないことがあります。

応援の気持ちを届けよう

カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。

新規ユーザー登録無料