初日尿出

 恭介の精神は、どういうわけか色葉の肉体と混じり合ってしまった。

 そして色葉の精神は、恭介の肉体と混じり合ってしまった。


 どうすれば元に戻れるか二人で話し合った結果、もう一度同じように急斜面を転げ落ちれば戻るんじゃね、という結論に至った。


 しかし試した結果は――


「やっぱり戻ってないじゃん!」


 色葉が少し切れ気味に言った。


 この挑戦、実に三度目であった。同じ転がり方をすれば元に戻るというのがお約束であるはずなのに上手くはいかなかったのである。


「も、もう一回、チャンスを……!」


「もう無理だよ。わたしたちだけじゃどうにもならないし、専門家の人に意見聞こうよ?」


「そ、そんな専門家いねーだろ?」


「とにかく今日はもうやめよ? わたししばらくなら恭ちゃんの身体のままでいいもん。戻る方法は帰ってからゆっくり探ってけばいいじゃん」


 恭介は額に脂汗を浮かべつつ、


「いや、しかし、だな。今すぐに戻られないとちょっと困ったことになるんだが……?」


「困ったこと? 何よ? わたしが恭ちゃんの振りして誤魔化してあげるよ」


「いや、そーいうんでなく、おしっこが我慢できそうにない」


「えっ!」


「ぶっちゃけ、もう漏れそうな感じ」


 恭介は、先ほどから我慢の子であったのである。


「なっ! そ、それわたしの身体なんだからね! 絶対そんなのダメだから! いいわね!」


「んなこと言っても、生理的欲求はどうしようも……」


 恭介は恥じらいつつ、太ももを合わせてもじもじとする仕草を見せた。


「ちょ、わたしの身体でそういうの……やめてよ!」


「や、やめてと申されましても、マジでどうにも……」


「あー、もう! わかったわよ! けど、絶対にする時に見ちゃダメだからね!」


「み、見るなって?」


「目を閉じて」


「えっ? あ、ああ……」


 どうやら手伝ってくれるらしく、言われるがまま目を閉じる恭介。


「スカートをめくり上げて」


「えっ?」


「――するんでしょ? だったらスカートをめくり上げて」


「は、はい……」


 恭介は息を呑み込み、羞恥と尿意からぷるぷと身体を震わしつつスカートをめくり上げて、


「こ、こうで……いいか……な?」


「ええ……」


 色葉が頷いて言ったその時である。スカートの下。恭介が穿いていたパンツに、色葉の手がすっと伸びてきたのである。


「きゃっ!」


 そしてそうかと思ったら、一瞬でするりと下ろされていた。


「い、いやぁぁ~っっ!」


 悲鳴を上げ、腰を引かせる恭介。


「な、何で女の子みたいな声で鳴いてるのよ? わたしが悪いみたいじゃない!」


 確かに傍目から見たら、女の子のぱんちーを無理矢理下ろしている図になるわけで、かなり悪い状況であろうなと恭介は思った。


「だ、だってぇ~……」


 身体は色葉の身体ではあるが、恥ずかしいものは恥かしかった。


「とにかく絶対にする時に目を開けちゃダメだからね? 音も聞いちゃダメ」


「目はともかく音って……」


「わたしが後ろから塞ぐから、しゃがんで」


「あ、ああ……うん。わかったよ」


 色葉の言う通りにすることにする。

 恭介はスカートをめくりあげたまま、腰をゆっくりと下ろしていく。


「もうちょい開いて。足に掛かっちゃうかもだから」


 恭介は足をプルプルと震わせつつ、怖々と股を開いて、


「こ、こう……かな?」


「そうよ」


 色葉は恭介の後ろに回り込み、


「それじゃあわたしが耳を塞いだら……して」


「う、うん……」


 そうして緊張した面持ちで頷いた恭介は、女の子になって初の排尿を経験したのであった。

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