178/跳ね馬

 紫の霧を抜けた途端、アスミを取り囲む世界は一変し、アスミは再び元いたツインタワー前の広場に立っていた。


 そしてすぐに、上空から降り注いでいる存在変動律に気づく。あちらの世界での陸奥の言動から予想はしていたが。


(真実大王、来たのね)


 天を睨むアスミであったが、その時広場の敷地内に、白いスポーツカーが弧を描きながら入って来て、ちょうどアスミの横につけた。


 車の運転席にいたのは、志麻である。


「これ、フェラーリよね? どうしたの?」


 アスミは助手席に乗り込んで、一応聞いてみた。志麻、免許持ってるの? とは聞かない。フェラーリは既に隅々まで志麻の存在変動律に満ちており、運転を始め様々な操作が可能なのはもちろん、志麻はこの車両を何らかの攻撃に使うのも想定しているのだと理解する。


「道ゆくカッコイイ系のお兄さんのものだけど、ちょっとお借りしたの」

「ふーん?」

「何? イイでしょ。この地のオントロジカが奪われたら、道ゆくお兄さんだって困るんだから」


 そう言ってギアを入れると、志麻はフェラーリを発進させた。戦闘機に追いつくことはできないが、可能な限りの追跡を試みるためである。

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