75/姉ちゃん
「交渉は決裂ですか」
超女王の周囲に大量の蝶が、蜂が、加えて上空から襲来する鴉の群れが現れる。セミナースペースにいた男たちがゆっくりとこちらに向かって歩み出し、遠方のエスカレータから、奥の階段から、わらわらと、意識をはく奪された男達が降りてくる。
それでもジョーはさらにもう一歩前に出る。
ジョーはただ人間が持っている「共感」として、姉のカレンの気持ちに想いを馳せた。胸に痛みと、強い気持ちが湧き上がってくるのは、ジョーは家族に抱く感情として、不器用でも優しい姉を愛していたから。
一番近くにいた、信頼できる人間、志麻にゆっくりと聞いてみた。
「アスミが、オントロジカは奇跡の源だと言っていた。『奇跡』まで強い人間の支配下に置かれてしまったら、弱い人たちはどうやって夢を見るんだ。この街はどうなるんだ」
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