62/ひぃじーじに尋ねる

「ジョーか」


 鍵がかけられていないひい祖父のアパートの玄関のドアをそっと開けると、すぐにひい祖父には察知された。


 ひい祖父は古流柔術の達人でもある。ジョーがまがりなりにも学生の柔道の範囲で全国大会まで行けたのは、ひい祖父に少し特殊な技術を教わっていたからでもある。


 奥の一室まで入っていくと、ひい祖父は小さなハンドライトの光だけを隅に置いて、布団の上にあぐらをかいて座していた。横には、ウイスキーの瓶とガラスコップが置いてある。


「ひぃじーじ」

「こんな時間になんじゃ」


 普段はゲームばかりやっているひい祖父だが、暗闇の中で酒を片手にこちらを睨む眼光には力がある。その人間の奥にある重厚な何かは、老齢で身体が弱っている事実とは、また異相が異なる類のものだった。


「大事な人が二人いて、どちらかしか助けられないのだとしたら、どうすればイイんだ」

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