60/疎らな街灯

 そのまま家に帰る気持ちにもなれなかったジョーは、この時刻でもまだ電気の明りに包まれている商店街を少し離れて、疎らな街灯のみが道をうっすらと照らしている住宅街を歩いていた。


 アスミは、ジョーに言う事だけ言うと、伝えることは伝えたからといった様子でベンチから立ち上がり、ジョーの詰問や反論を逃れようとでもするかのように、少し足早に立ち去って行ってしまった。去り際に、明日以降、頼りにしてるわよと、ありふれた言葉を残して。


 ジョーが自然と足を向けたのは、ひい祖父のアパートであった。心が落ち着かないでいた。それでも、このざわつきを例えばリンクドゥで今からアスミに伝えるというのも違う。どうしても、座して対面で誰かに話を聞いてほしい。そんな夜もある。

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