46/今回の敵

 危機は脱したかな。


 束の間の安堵を覚えたジョーだったが、そこに後方から切迫した声が飛んでくる。


「アスミ! 後ろ!」


 振り返ると同時に、ジョーも何か危険が迫っているのを直覚し、瞬時にアスミを突き飛ばす。


 響き渡ったのは、銃声だった。


 ジョーの危機回避が間に合い、受身をとって再び立ち上がるアスミと共に、さきほど倒したシェフの男の方を見やると、後方の石垣の上に、新たなスーツ姿の男が一人立っていた。手に握られている拳銃が、新たな危険を示している。


 しかしスーツ姿の男は、拳銃を懐にしまうと、石垣の上から飛び降り、シェフの男を無造作に肩に抱きかかえた。


 逃げるつもりだとジョーが理解したのもつかの間、スーツ姿の男は、人間のものとは思えぬ跳躍力でシェフの男を抱えたまま後方に飛びのき、そのまま石垣を越えて闇夜へと消えて行った。


 アスミと志麻が視線を合わせ、しばらく見つめ合った後に、お互いに緊張していた態度を和らげる。


「今日の所は、深追いはやめておきましょう」


 志麻がゆっくりと告げた。


「大天寺山の結界からも、外に出たわ。今回の敵、相当頭が切れると思うの。こちらも、少し態勢を再構築した方がイイわ」

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