010_2200 部活動Ⅸ~事はまだ終わっていない~


 レストランシップ『曙光しょこう』が帰港したのは、夜半になってからだった。


 海上保安庁の巡視艇が大阪湾内で合流・接舷し、船に乗り込んだ保安官たちは、逆の意味で混乱した。

 予想されていた騒動はなにもない。既に人質は無事解放され、シージャック犯とされる外国人たちは全員結束バンドで拘束されている。治療も行われているので、死者はもとより重傷者もいない。


 全て《魔法使いソーサラー》と呼ばれる、それもまだ学生たちが、たった三人で行った事だった。彼らが三つの省庁から発行された不可解な身分証明書を提示しなければ、誰も納得しなかっただろう。


 静かな衝撃から立ち直った海上保安官たちは、通常通りの対応を行った。乗客乗員たちの身体検査と問診を行い、異常が無い場合は簡単な事情聴取をし、捕えられた外国人たちへも事情聴取する。

 船内の異常も調査し、彼ら自身の目で安全を確かめ、『シージャック事件はひとまず解決した』と行政的な判断が下された時には、陽は完全に沈んで夜半近くになっていた。


 神戸港に帰りつくと、またひと騒動があった。

 国外の人間が絡むということで、海上保安庁だけでなく関係機関の者が待ち構えていた。

 しかも、どうやって知ったか、人質となっていた乗員の家族や知り合いだけでなく、マスコミや野次馬が詰め掛けて、普段は静かでデートに最適な港は大変な混乱ぶりだった。


 その騒ぎに総合生活支援部の部員たちは、表立たなかった。必要以上に目立つのは本位ではなく、また余計な騒ぎを起こす可能性がある。

 だから港の騒ぎが落ち着いてから動こうと、十路とおじと樹里は後甲板の片隅に、オートバイと共にいた。


木次きすき……いいって」

「大人しくしてください!」


 樹里がいつになく強気な態度で、濡らしたハンカチで十路の顔についた血をふき取る。傷は《魔法》で治療しても、乾いた出血まではどうしようもない。


「も~……そんな格好のままでいないでくださいよぉ。ちょっと怖いですよ?」


 しかもジャケットはあちこち切り裂かれ、カッターシャツは血でまだらに染まっている。子供が見れば泣き出す有様だろう。


「先輩が一番重傷じゃないですか……無茶してこんなボロボロになって……」

「人手を他にまわす必要があったし、俺にとってはあんなの、いつものこと――」


 《魔法》なしで《魔法使いソーサラー》を相手にしたのだ。普通ならば死んで当然の戦闘を行い、重傷でも自力で動いているのだから、楽勝だったと思ってもいいと十路は考えてる。


「う~……」


 だが子犬がしょげたように、樹里がハの字眉で唸るのに、十路は口を閉ざす。


「先輩……? もっと自分を大事にしてください……」

「はい、すいませんでした……」


 そして早々に白旗を上げた。吠えられるより、暗くなられるほうが地味に効く。


「それにしても、制服が二着もダメになったのは痛いな……」

【トージも意外とみみっちぃですね……】

「あのな、イクセス? 高校生に制服の値段は死活問題だぞ?」

「やー。部活中のことですし、部費から出してもらえるか、部長に《魔法》で直してもらえると思いますけど?」

「できるなら、そうしてもらわないと困る――おぉ?」


 イクセスと樹里相手に制服の心配をしていると、突然十路の体が《魔法回路EC-Circuit》に包まれ、すぐに消えた。

 空いた穴が塞がり、染み込んだ血は分解され、人前に出たら通報されるであろう学生服が修繕された。さすがに燃えた部分まではどうしようもなかったようだが。


「お偉いさんとの話し合い、終わりましたわ」


 部の代表として、関係各所の責任者と折衝せっしょうを行っていた、コゼットの仕業だった。アタッシェケースに装飾杖を収めつつ報告する。


「理事長とも連絡が取れましたわ。そちらはそちらで、お偉いさんとお話ししてるようですけど。あと事件の詳細を書いたレポート、一週間以内に出せって釘を刺されましたわ」

「あー、この部活、そんなモンもありましたね……面倒くさ」

「堤さんはまだいいでしょう? わたくしと木次さんは《魔法》を使った分、専門的なこと書かないとなりませんから、大変ですのよ?」

「いや、俺も考えて書かないと……『消火器で犯人を捕まえました』なんて書いたら、『ふざけてんのか?』って突っ返されるでしょう?」


 首筋を掻きながら、十路は嘆息を漏らす。積極的に獲物を狩りたてた反動のように、いつもにも増してやる気なさげな態度だった。


「ま、後はお偉い方々の仕事。わたくしたちの出番はこれで終了。お疲れさまですわ」

「「お疲れさまでしたー」」

「乗客は下船しましたし、わたくしたちもそろそろ降りましょう」


 部長による号令に、部員ふたりが軽く頭を下げ、船内に移動する。十路はオートバイを押しながら。


「あ゛ー……結局タダ飯ゴチになり損ねましたわね……晩メシどうしましょ」

「つばめ先生は家にいないですし、私もこれからひとり分の晩ご飯用意するの、なんだかなぁって気分です……」

「俺も帰って作るの面倒だな……帰りがけにどっかで食べるか?」


 ごく普通、学生の雰囲気だった。放課後の時間、共に部活動で過ごし、帰りがけにファストフードへの寄り道を提案しているのと大差がない。

 とても銃火器を持ったシージャックたちを制圧し、兵器を破壊した後での会話だとは思えない。


 三人と一台がエントランスホールに入ると、船員や捜査員たちが慌しく動き、逮捕された『フルンティング』の者たちを下船させようとするところだった。

 そのうちのひとり、包帯を頭に巻いたローデリック・セリグマンが振り向いた。視線を辿ると、十路を憎々しげに睨みつけている。


 しかし十路は気にも留めず、別人へと話しかける。


「まだ船を降りてなかったのか?」


 入り口近くにヴィゴ・ラクルス、レオナルド・ラクルス親子がいた。脅される形ではあったのだろうが、名目上はシージャック犯に協力していたから、聴取に時間がかかったのかもしれない。


 彼らは十路の声に振り返り、《魔法使いソーサラー》たちの姿を見て、一瞬怯んだ顔をしたが、父親が気を取り直して頭を下げる。


「……私のせいで迷惑をかけた。それから、取り返しのつかないことになる前に、助けてくれてすまない」

「謝られることはないし、礼を言われることもやってない」


 初対面の印象とは格段の、ヴィゴはかしこまった態度だが、十路は軽く肩をすくめるだけ。


「これが俺たちの部活動だし、誰かの都合に《魔法使い》が巻き込まれるのは、いつものことだ。それに――」


 彼は視線を転じ、開け放たれた扉の外を見た。

 カメラのフラッシュや照明の中に浮かぶ港には、一時人質となった乗客が、家族や友人と無事を確かめ喜ぶ姿が数多くあった。

 ほんのわずか寂しそうに見て、ヴィゴに向き直る。


「事の真相を知ったら、誰も俺たちに感謝なんてしない。むしろ石投げてくるだろうな」


 事件の発端は、国家に管理されていない《魔法使いソーサラー》を拉致しようとしたこと。

 つまりコゼットと樹里がこの船に乗り込んでいなければ、今回の事件は起きておらず、乗客たちは何事もなく食事を楽しんで帰宅していた。


「だから俺たちは邪術士ソーサラーって呼ばれるんだ。厄介事を持ち込む、呪われた『魔法使い』ってな」


 ただの事実に過ぎない。

 だが樹里は視線を床に這わせる。隣のコゼットも苦々しい顔になっている。そんな彼女たちを見て、レオも気まずげに目を逸らす。


 横目で見た十路が、『また空気読まずに言い過ぎたか』とでも言うように顔をわずかに歪めたが、すぐに無表情に隠される。


「……そういやこれ、アンタの車のだろ?」


 彼はポケットを探り、『EB 16.4 Veyron』とあるキーホルダーのついた鍵を見せた。形状からして、車のものに違いない。


 気絶させたローデリックを拘束し、身体検査した際に見つけたものだった。本来ならばこれも保安官に渡すべきだろうが、煩雑な手続きが増えるだけで結果としては同じことだと、十路は持っていたのか。


「そういえば、愛車ヴェイロンをあの男に貸したままだったな……」


 ヴィゴはその場を動かず片手を掲げた。応じて十路は『投げるぞ』とジェスチャーする。


「待て――!」


 誰かの慌てた声が聞こえた時にはもう遅く、十路は車のキーを放り投げた。


 放物線の頂点で、飛びあがって手錠がはめられた別の手が受け止め、そのまま持ち出されてしまった。

 ローデリック・セリグマンによって。

 彼はタラップを駆け降り、埠頭に集まる人々を掻きわけるようにして駐車場に向かう。


 脱走者により騒然となる船内で、支援部の面々は顔を見合わせる。


「……部長。こういう場合、俺たちも行動するんです?」


 十路はいつも通り。やる気なさげな無表情で首筋をなでている。


「引継ぎは終わってますから、わたくしたちは関係ねーと言えば関係ねーですけど……」


 コゼットもいつも通り。金髪頭をガリガリと掻き、憂鬱ゆううつそうに答える。


「結局はまた、お鉢が回ってくるんじゃ?」

「はぁ……面倒くさい。だけど俺のせいの気もするしな……」

「先輩も部長もなにのん気に話してるんですか!?」


 あまりに平常運転な先輩たちに、フォローする気の樹里が叫ぶ。


 その声にかぶさるように、離れていても特徴的な排気音が響く。スポーツカーといえば空吹かしが付きものだが、余計な事はしない。ブカッティ・ヴェイロンは猛スピードで港を飛び出した。


【トージ。追跡させてください】


 《使い魔ファミリア》の存在を知らない者がまだ多数いる場だから、イクセスも声を出さずに無線を通じて、十路の耳につけたままの無線機ヘッドセットに呼びかける。


【あんなふざけた車との競争なんて、この機会を逃せば二度とできないでしょうし】

「お前な……そこまであの車に対抗意識持ってるのか?」

【当たり前です。あんな、のさばらせておくのは我慢できません】


 販売価格一億七九〇〇万円、出力一〇〇〇馬力という超高級モンスターマシンを、オートバイがこき下ろす。もしイクセスに顔があれが、不敵な笑みを浮かべているに違いない。


「……目立ちたくないんだけど? あとレポートの枚数が増える」

【見られたところで、画像や映像の証拠はまず残りません。レポートの増加は諦めてください】


 嫌な顔をしながらも、十路は即座に対策を立てたに違いない。樹里とコゼットに振り返る。


「ふたりとも、《杖》のバッテリーは?」

「残り七四パーセント。行けます」

「四二パー。船を修理しましたから、追跡して戦闘を行うには少々不安ですわ」


 軽くうなずいた十路は、オートバイにまたがる。


「俺ひとりでもなんとかなるけど、どうする?」

「行きますっ!」


 樹里もリアシートに飛び乗る。空間制御コンテナアイテムボックスはこの場に残したが、《魔法使いの杖アビスツール》は持っていないと話にならないので、片手で十路の腰を掴む。


「先輩ひとりで無茶して、また傷だらけになる気ですか?」

「今度はならないと思うけど……とりあえず俺、信用されてない?」

「当たり前です! さっきのアレでどうやって信用できるんですか!」


 彼女は怒鳴る。


(この人、ひとりにしたらそのうち死ぬ……!)


 強かろうが弱かろうが、人は死ぬ時にはあっさり死んでしまうことを、樹里はよく知っている。

 だから『出来損ない』などと自虐し、平然と無茶をする十路に、《治癒術師ヒーラー》が同行することで、少しでも生存率を上げる。


「そりゃ私がいても、役に立つかわかりませんけど……」

「あー、わかったわかった……」


 樹里の会話を強引に終わらせて、十路はアクセルを捻る。偽装の排気音を荒々しく響かせて、右往左往していた人々の注意を引き、これから何をしようとしてるか知らせる。


「荒っぽくなるぞ」

【了解】

「はいっ!」


 ヘルメットなどかぶる暇はない。そのまま飛び出し、段差を物ともせずにタラップを駆け降りた。



 △▼△▼△▼△▼



「大丈夫なんですか……?」


 大型オートバイが埠頭を飛び出したのを見送り、レオがその場に残ったコゼットに不安な顔を向ける。

 対し彼女は、なぜか疲れた顔を作った。


「堤さんたちなら、まぁ、大丈夫でしょうけど……車は大丈夫か不明ですけど」

「なんだと……!?」

「一応 《魔法》絡みの事件ですし、壊れたらわたくしが責任持って修理しますわよ……」


 愛車のことで色を失うヴィゴをひとまず安心させ、樹里の空間制御コンテナアイテムボックスを拾い上げ、追いかける用意をしつつ、嫌な予感にコゼットはため息をこぼした。


「せめて修理させんの、車だけにしろってんですわよ……?」



 △▼△▼△▼△▼



【警察無線傍受。速度超過のスポーツカーを発見、追跡開始。車体の色はグレー。国道二号線を西に向かってるとのことです】


 イクセスの情報収集で、進行方向に迷う必要はない。


「警察で押さえられると思うか?」


 神戸に来て日が浅い十路にも、国道がどこを走っているかくらいわかる。そちらにハンドルを切り、夜になっても交通量のある道路を、法定速度を無視して疾走する。


【厳戒態勢を取る間に見失うでしょう。警察車両が偶然発見できたことすら、かなりの幸運ですし】

「となると、やっぱり俺たちが追いついて、取り押さえるのが一番現実的か……」

『あのー……? 追いつく方法って? なんだか嫌な予感がするんですけど……』


 走行中なので《魔法》を無線を通じ、樹里が問う。勢いで乗ったはいいが、今更不安になったのだろうか。

 その問いに答えたのは、オートバイ本人だった。


【マトモな手段では追いつけませんから、インチキします】

「木次、どうする? 降りてもいいぞ?」

『……! 大丈夫です!』

「足元に気をつけろよ」


 ひるみながらも決心する樹里に、『後悔するなよ?』と笑いをこぼし。

 一転、十路は顔を引き締める。


「イクセス。大丈夫なんだな?」

【こんな街中で使用するのに、不安がないと言えばウソになるのですが……】

「ミスって吹っ飛んだら、俺たちは確実に死ぬからな」


 言葉の少ない十路と、憎まれ口の多いイクセスは、お世辞にもいいパートナーとは言えない。少なくともそうは見えない。


【私を、信じてください】

「わかった。お前に任せる」


 だから言葉で明確に信頼を寄せたことで、もしかすれば彼女は照れたのかもしれない。


「堤十路の権限において許可する! 《使い魔ファミリア》《バーゲスト》の機能制限を解除!」

【――OK. ABIS-OS Ver.8.312 boot up.(許可受諾。絶対操作オペレーティングシステム・バージョン8.312 起動)】


 音声による認証と命令を得て、AIらしく事務的に、イクセスらしくなく無感情に英語で宣言し、普段は凍結されているソフトウェア――彼女が言うところの『インチキ』を発動させる。


【LINK OK.(接続確立)】


 イメージはUSB端子で接続された外部メモリー。保存されていないプログラムを、外から持ってきて読み込み、コンピュータ本体を使って実行させる。

 だから十路が『出来損ない』であろうとも、彼の脳と接続が確立できれば、《使い魔ファミリア》にはなんら問題ない。それを証明するように、ハンドルバーを握る腕とステップに置く足に、光る回路図EC-Circuitが浮かび、人体と車体の機能が接続されたことを示す。


【EC-program 《Aerodynamics caul》 decompress.(術式 《空力学風防》解凍)】


 これから空気抵抗が問題になる。しかし《バーゲスト》はウィンドシールドも風防カウルを持たない。

 車体の前方に、気流を上左右に受け流す仮想の盾を作り出すことで、無風状態に近づけると同時に、乗っている人間を風圧から防御する。


【EC-program 《Kinetic stviraiser》 decompress.(術式 《動力学安定装置》解凍)】


 今から紙くずを踏むだけで転倒し、小石で空に飛び出しかねない状況になる。

 サスペンションと車体各部に重力制御を行う《魔法回路EC-Circuit》を発生させ、車体を強引に地面に押し付け、どんな場合でも制御可能な状態にする。


【EC-program 《Polymerphysics wheel》 decompress.(術式 《高分子物理学タイヤ》解凍)】


 ここは一般道。車を追い抜き、交差点では回避しないとならないが、そこでタイヤがグリップを失うと確実に事故を起こす。

 マイクロ秒単位で接地部分の状態を変える。場合に応じて溝を作り、スパイクを生やし、路面と癒着する機能性タイヤへと作り変え、適切なグリップ力を生み出す。


【EC-program 《Thermodynamics booster》 decompress.(術式 《熱力学推進機関》解凍)】


 マフラー配管に見せているアームが駆動し、リアシート下の消音器サイレンサーに偽装した部品を、通常のオートバイと同じように、両サイドへ水平に露出させる。

 外部出力デバイスであるそれから、レーザー光線によって《マナ》にエネルギーと機能情報が与えると、《魔法回路EC-Circuit》が形成される。吸入した空気が液化するまで圧縮冷却し、内部にて過熱膨張させれば、液体燃料不要のジェットエンジンと化す。


 乗り物であると同時に、人工知能とオーバーテクノロジーを塔載した、意思を持つ《魔法使いの杖アビスツール》――それが《使い魔ファミリア》と呼ばれる機械の正体だ。


 街中でも不審に思われない隠匿いんとく性。障害物が多い場所も走れる踏破性。そのふたつの特徴をあわせ持つ戦闘車両は、軍事学的には大きな意味を持つ。

 しかも火力や足りない機能は、《魔法》で補うことができる。

 だから《魔法使いソーサラー》を乗せる戦闘車両として、単独行動の多い彼らの相棒役として、本来開発されるはずのない二輪形態のロボット・ビークルは開発された。


 正式名称 Advanced Tactics Infantry Fighting Vehicle――特殊作戦対応軽装輪装甲戦闘車両。

 《魔法使いソーサラー》と人機一体を成すことで、音速突破も可能なとなる。


「木次! 絶対に手を離すな!」


 ステップを踏みしめる。ハンドルバーを掴み直す。可能な限り姿勢を低くする。


『はいっ……!』


 長杖を前後に流す。目の前の背中にしがみつく。腰に回した腕に力を入れる。


【Are You Ready? (準備いいですか?)】

「オーケィ!」


 スリーカウントなんてものはない。


【Go!】


 直後に狂加速が行われる。

 デジタル表示のスピードメーターが、目にも留まらぬ速さで数字を増やす。前に車のテールライトが見えた瞬間には追い抜くのだから、もう人間に反応できる速度ではない。しかしそんな状態でカーブに突入しても吹き飛ばない。サスペンションが暴れる車体を押さえ込み、タイヤが路面を強引に掴み、道路交通法と一般常識を真っ向否定する。


 推進機関で咆哮ほうこうし、野良犬と子犬を背に乗せて、鋼鉄の魔犬は獲物を追って猛進する。

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