070_1540 4th duelⅧ ~動如雷霆~
ミサイルと銃弾、どちらが強いか?
一般人の認識ならば、ミサイルを挙げる者が多いかもしれない。種類によるが、視界外の数十キロ先から飛来し、避けても追尾する誘導性に信頼を置いている。しかも銃弾は人を殺すのがせいぜいなのに、ミサイルは兵器を一撃で破壊できる。
軍事を多少でも知っている者なら、ケースバイケースと答えるだろう。有効な距離も運用法もまるで異なるのだから。
そして《
【煩耶……!(ウザッ!)】
その根拠を、《
落下する最中、それは狙撃された。安全装置を正確に破壊し、炸薬が反応して爆発した。
ミサイルや爆弾を腹に抱えたまま、こんな離れ業を披露されていたらと思うと、ゾッとする。
更に『離れ業』の
空力学の常識を超えて弾道が捻じ曲がる。
至近距離で破裂して破片をばら撒く。
初速は亜音速なのに極超音速で飛来する。
カタログに記された有効射程を平然と超えてくる。
20×138mmB弾は古い弾丸で、現在ではやや威力不足感が否めない。だが現役機関砲にも使われる口径は、装甲のない機体には充分な脅威となる。
致命傷を避けても、『魔弾』は《
このように
敵は森の中にいる。ならば低空飛行をすることで、射線に
推定速度は時速一五〇キロ。戦闘機とは比べ物にならない遅さだが、森をありえない速度で移動し、食らいついてくる。
それも反応ふたつが。
うちひとつから、進路を塞ぐように、森からプラズマの四本爪が突き出された。
正体は分かっている。人型に変形した《コシュタバワー》が実行する、高出力の《Plasma-physics APS(プラズマ物理学近接防護システム)》だ。爪の隙間をくぐり抜けてギリギリで回避した際、枝の隙間から青い金属の塊を一瞬確認できた。
そちらはまだいい。問題なのは、反応のもうひとつ。人外の跳躍力をもって宙に飛び出した人型だ。
【死老太婆! 去死吧! (クソババア、消えろ!)】
離れていても
だが学生服姿の『麻美』は、足を突き出して対抗する。散弾銃の銃口のみを、靴を履いていない足裏から突き出させ、命中前に散弾をぶつけて《魔法》を誤作動させる。
現行の
宙にある『麻美』を撃破できず、至近距離まで近づくことになる。
昨日、前代未聞の痛い目を見たので、《
だが『置き土産』までは防げなかった。
吸着地雷などという、古典的で馬鹿げた
しかもそんなものを『麻美』は、体内から前触れなく取り出してくるのだから、対処のしようがない。
航空機は非磁性金属が多用されているが、鉄なども全く使われていないわけではない。強力な磁石であれば吸着する。
貼りついた成形炸薬が、指向性爆発を起こした。胴体ならば間違いなくフォロー不可能な破損で墜落していたが、幸いにして翼だ。戦車と違って装甲のない戦闘機には、
だが高負荷な
△▼△▼△▼△▼
地面に叩き落されたが、木の枝がクッションになったため、不死性を発揮するまでもなく大した負傷はない。
「痛ったいですねぇ! デブ鳥の分際で生意気な!」
【こっちのセリフだクソ駄犬がぁ!?】
無線で怒鳴った
【次行くわよ】
「ユーアも人遣い荒いですね……下手すればトージ以上ですよ」
【
頭部が存在しない《コシュタバワー》が、冷たい半眼が向ける。普段は存在しない、
軽く鼻を鳴らした
【ややややや。だから、その人外移動はやめて……地味にキモい】
「失礼ですね」
彼女の足裏から、チェンソーと
「だったら移動手段も用意しておいてくださいよ」
【や。バイクがあるのに他を考えるわけないでしょうが】
インラインスケートで走るように不整地を進むのに、《コシュタバワー》も危なげなく二輪の足で並走してくる。
「それにしても、私たちは、当初トージが立ててた作戦どおりに動くわけですね……」
【仕方ないわ。機動力あるし、私たちは離れてても
「チマチマしてて、結構イラつくんですけど」
ぼやきつつも、
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