第126話 ちびっこ賢者、これからもみんなと一緒の旅で、がんばります!

「ああ。これが地上に戻る魔法陣だね」


 動かなくなった玄武は、ゆっくりと迷宮の床に吸収されていった。

 そしてその場所に、地上に戻るための魔法陣が出現している。


「そういえば、カリンの舞で玄武を送らなくても良かったの?」


 確かにリヴァイアサンはカリンさんが精霊界へ送り返していたはず。玄武もそうしなくて大丈夫だったのかな。


「玄武は私の神楽鈴で呼ばれたわけではなかったからな。元々土の迷宮の下層にいたのだろう。その証拠に玄武の体は迷宮に吸収されていたではないか」

「確かにそうね。でもどうして玄武が土の迷宮にいたのかしら?」

「さてな。玄武は土の属性ゆえ、居心地が良かったのかもしれんぞ」

「もう。冗談はよしてちょうだい。ねえ、ユーリちゃんもそう思うでしょう? ……ユーリちゃん?」


 賢者の塔への鍵をじっと見ていた私は、アマンダさんに声をかけられてハッと我に返った。


「あ、すみません。なんですか?」

「どうしたの、ボーッとして」

「その……。この鍵の形ってどこかで見たことがあるなと思って」

「形?」


 鍵をじっと覗きこむアマンダさんは「分かったわ」と言った。

 え? 分かったんですか?


「ユーリちゃんのチョーカーのくぼみがこれにピッタリじゃないかしら。ほら」


 鏡がないから分からないけど、アマンダさんの言う通り、賢者の塔の鍵はくぼみにぴったりはまるようだった。


「ここに留め金があるからこうすれば……ほら。飾りみたいで可愛いわよ」


 飾りにするのは落としそうで怖いけど……アマンダさんが喜んでるからしばらくこのままでいいかな。


 その時、ピロロンとクエストを完了する音が聞こえた。



 ▼クエストを完了しました。

  ▼土の迷宮の最深部へ向かえ。

   土の迷宮の最深部にいるボスを倒そう。

  ▼クエストクリア!

   報酬・・・土の鍵を入手した。

   特別報酬・・・ゲッコーの杖の特殊スキル『プロジェクション』を使用可能。


 

 そういえば、すっかり忘れてたけど、こんなクエストも受けてたっけ。


 というか、特別報酬って何?

 たまたま玄武が気まぐれでくれたトカゲのこと?


 それにプロジェクションってどんなスキルだろう?

 うん。試してみよう。


「プロジェクション!」


 そう唱えると、ゲッコーの杖から光が出て、部屋の壁に映像が映し出される。


「これって、地図だ」


 私たちが歩いたところだけだけど、土の迷宮の地図がそこには映し出されていた。


「ユーリちゃん、凄いわ。これって地図でしょう?」

「はい。これがあると、迷宮の探索は楽になりますよね」

「本当にそうね」


 壁に映る地図を見たみんなが私の所へ集まってくる。


 ふふっ。この地図があると、これからの旅には便利だよね。

 次は獣人の国にある炎の迷宮かなぁ。


 ヴィルナさんみたいな人がたくさんいるのかな。

 凄く楽しみ。



 ちびっこ賢者、これからもみんなと一緒の旅で、がんばります!

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ちびっこ賢者、Lv.1から異世界でがんばります! 彩戸ゆめ @ayayume

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