第113話 四神獣の一柱
そうだ。
私もアースドラゴンを倒してるからまたレベルが上がっているかもしれないよね。新しい魔法を覚えてる可能性もあるし、ちょっと確認してみようっと。
「ステータス・オープン」
小さな声で呟くと、アルにーさまが何も言わずに私を見る。
前にステータスの説明をしたことがあったから、何か異国の魔法を唱えてるんだって思ってるんだろうなぁ。
パーティーウィンドウが開いても、アルにーさまたちの名前は見えるけどステータスは表示されてないんだよね。
こうしてパーティーを組めるようになったのなら、ゲームと同じようにHPを表すバーをつけてくれれば良かったのになぁ。
でも……パーティーを組めるだけ、ラッキーだと思わないとダメだよね。
うん。できなくて残念って思うより、できてラッキーって思ってた方がいいよ。
私の今のステータスはこんな感じだ。
ユーリ・クジョウ。八歳。賢者LV.36
HP 362
MP 438
所持スキル 魔法 100
回復 100
錬金 100
従魔 85
称号
魔法を極めし者
回復を極めし者
異世界よりのはぐれ人
幸運を招く少女
幸運が宿りし少女
豹王の友
リヴァイアサンを倒せし者
えええっ。
アース・ドラゴンを倒したのに、1しか上がってないのぉぉぉ?
あれってボスクラスの魔物なのに……。
やっぱりレベルが上がってくると、同じ1レベルを上げるのにもたくさんの経験値が必要になるってことかなぁ。
はぁ。
他に新しい魔法を覚えてるってことは……。
無属性魔法も、新しい魔法は覚えてないみたい。
……がっくり。
でもこの先にはラスボスがいるはずだから、それを倒して経験値いっぱいもらっちゃうんだからー!
うん。よ~し。
やる気が出てきた。がんばるぞー!
かがり火の揺れる中、一本道を進むと大きな扉の前に着いた。
扉には黒いモヤがかかっていて、禍々しい雰囲気を放っている。
そしてその両脇には、扉を守るかのように、石でできた大きなガーゴイルの像が建っていた。鼻の潰れたゴブリンのような顔に、背中にはコウモリのような翼が生えている。
まるで生きているみたい……。
そう思いながら灰色のガーゴイルを見つめていると、その目がギョロっと動いた。
「ケケケケケ」
うひゃぁっ。
何? 何の声?
「ケケケケケ」
「うおっ、なんだこいつ。びっくりするじゃねぇか」
フランクさんが身構えながらガーゴイルを見上げる。
「ケケケケケ」
「ケケケケケ」
石像のガーゴイルは、ただ笑うだけで、動いたりはしない。
「脅かすだけかよ。心臓に悪い」
「まるで生きているみたいで気味が悪いわね」
アマンダさんもガーゴイルを見上げて顔をしかめる。
「門番にしては、攻撃してこないというのが不思議だな」
アルにーさまは腕を組んで考えていたようだけど、特に害のないものなら放っておこうということになった。
「いよいよ迷宮の主とご対面だ。準備はいいかな?」
アルにーさまの言葉に、全員で頷く。
「プロテクト・シールド」
アルにーさまたちが自分にかけられるプロテクトをかけた後、私が重ねがけできるプロテクト・シールドをかける。
迷宮の主が魔法を使うかもしれないから、マジック・シールドも必須だ。
そしてしっかり全部の防御魔法をかけた後、アルにーさまが黒いモヤのかかった扉に手をかける。
すると、ゆっくりとモヤが薄れて黒い大きな扉が現れた。
音もなく開いた扉をくぐると、リヴァイアサンと戦った時のような風が、どこからか吹いてくる。
「やっぱり強化の魔法はキャンセルされるね」
アルにーさまが、手を握ったり開いたりしながら、防御魔法が消えてしまっているのを確かめている。
もしかして、黒いモヤがかかっている扉には防御魔法とかがキャンセルされる効果があるのかもしれない。
そう思いながら部屋に入ると、そこには、三階建ての家と同じくらいの大きさの巨大な甲羅があった。
あれ……亀だよね。
すっごく大きな亀。
しかも見覚えがあるんだけど……。
もしかして、四神獣の一柱、玄武!?
って。
ええええっ。
どうして玄武がこんなところにいるの?
確かにリヴァイアサンも試練の洞窟にいたけど、土の迷宮のボスは違う魔物でしょーっ!
それが何でぇぇぇぇ?
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