第26話

そのファストフード店で、私と同様の作業をして腱鞘炎になったひとがいたし、力のある男性スタッフが行っても、

「さすがに半日もしてたらキツイっすよ。」

とのことだった。

しかし、私ほど致命傷を負った人は無し。何てこった。

考えてみれば、私は幼少期から健康面は常にハズレくじを引いてきた。

華奢で貧弱な体格のせいか、体力がない。すぐバテてしまう。風邪はひきやすいし、インフルエンザも4回くらい罹った。

小2で近視になり、乱視も強く、いつかど近眼の域に。眼鏡はビン底に極めて近く、コンタクトレンズを使用してもどんどん悪化するドライアイのせいで、目薬を数十分おきにさしても、最後には数時間しか耐えられなくなった。1日で使い捨ての超薄レンズでも、である。

台北でOLをしていた時、パソコンに長時間向かいっぱなしだったのが起因して、ドライアイは頭痛や吐き気を起こす、目を開けていられないレベルまで進み、通院した。

それから、極度の寒がり。年子出産後のギックリ腰から、ずっと慢性の腰痛持ちになり、ジャックと暮らす重圧から患うことになったうつ病は完治しないままだ。


5月、6月、7月……

右腕は一向に良くならない。

そして8月、一緒に勤務せずままの新店長に退職を申し出た。もし、そのうち治ったとしても、またあの作業をしたらぶり返す。一度ここまで傷めたら、たぶん生涯、完全に治ることはないだろう…… 腰痛みたいに。



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