第108話

民進党党首の蔡英文が第14代総統に就任するのは、2016年5月20日。

毎回、就任式は、日本なら新緑から初夏へと移る美しい季節に行われる。

その時期、台北は日本の7月くらいに気温が上がり、正装して出席する人々は十分にクーラーが利いた就任式会場に集う。

目下、今年も6月末か7月上旬に渡台するつもりなので、今回は8年ぶりの民進党政権下で、初の女性総統に舵をとられ始めたばかりの新しい台湾を感じられることを楽しみにしている。中国との関係は「両岸関係」と言われるが、蔡英文がどう対応し、政治手腕を発揮できるかどうか見ものだ。


先日、次女の桂と話した時、来週末(4月2〜3日) はジャックの友人家族とキャンプに行く、と言っていた。台湾はもうキャンプができる気候になってきたんだなぁ、と思った。

元義母の実家が苗栗縣にあるのだが、日本のこの辺りでは9月から10月の稲刈りを‘えーっ?!’と驚く時期にしていて、台湾北部では二毛作だと教えられ、新鮮な感覚に包まれた記憶がある。南部では三毛作らしい。

台湾と沖縄は緯度的に近く、穫れる作物や気候が似ていると言われる。

だが、台湾は‘外国’でジャックは‘外国人’だった。私たちの離婚は、互いの努力不足や性格、価値観の不一致のみならず、実は本人たちが意識している以上に、二つの国を分かつ見えない溝によって引き起こされたものかもしれないと、ふと考える時がある。

台湾人は日本に憧れを抱く傾向があり、実際大変親日的で親切にしてくれる。東日本大震災への義援金額NO.1国は、まさに台湾だった。

一方で、台湾人と日本人のカップルが誕生し、結婚する例は多いが、離婚率は相当高いらしい。自分も含めて、身近なところで見知っている同夫婦の離婚は本当に多いし、台湾はアジアで離婚率が最も高い国とも言われて久しい。

また、日本同様、少子高齢化が深刻化している。「不婚族」と呼ばれる独身主義者や、‘子供なしの人生を送ろう’と確認し合って夫婦の契りを交わす人たちも少なからずいる。私が日本にいる時より、台湾在住の頃の方がそういう類の人たちに会う機会は明らかに頻繁にあった。

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