第六十四話 魔導の塔と四体のホブゴブリン
「ほら、やっぱり」
ほらやっぱり、じゃないよ、まったく。さすがにこれはキツイ。
一回上がる毎に増えていくホブゴブリン
ホブゴブリンが一匹
ホブゴブリンが二匹
ホブゴブリンが三匹
ホブゴブリンが四匹
大変すぎて気を失ってしまいそうだ。
そもそも、ランチェスターの法則的に強さは人数の二乗倍になるので1倍、4倍、9倍、16倍と素敵な感じで強さが増えてきてる。
もう十分強かったよ、ホブゴブリン3体も。
というか、1体目から結構苦戦してたよ。
とどまることをしらないなこの魔導の塔は。
「この塔、ホブゴブリンたちはこのまま30階まで増え続けるのかしら」
ついに、ラクスが気づいてはならないことに気がついてしまった。
「その可能性、微レ存」
「え、ビレゾン?」
「ああ、ごめん、気にしないで!ちょっとだけある、という意味だよ」
うっかりネットスラングを使ってしまった。
相当、意識を持って行かれている、この塔の苛酷さに。
しかし、なんというレベルデザイン!
こんなゲーム作ったら、離脱するぞ。最近のモバイルゲーマーは!
ボスのレベルが少し強かったらやめちゃうんだぞ!
会社でソーシャルゲームを作っていたことを思い出した。
僕がいた会社は、web技術のビジネスならなんでもやるというスタイルだったので、画像のSNSからソーシャルゲームまで、なんでも作っていた。
今どきは、レベルデザインも、お客さんの離脱によって変えたりする。レベル10だけやたら離脱するというゲームがあって、それはなにか調べたら、そのところにボスが出てきて、強くてみんなやめてた、というものだ。
そういうのを、データサイエンティスト達が、多角的にとらえて、レベルの調整をするように、我々プログラマーに進言するのだ。
なおやさん、このボス強すぎますよ、みたいな感じだ。
プログラマー時代の事を思い出していた。
そんなわけで、ホブゴブリンさんちょっと弱くした方がデータサイエンティストに怒られないですみますよ!誰が設計したのかしらないけど!!
「30階まで行くと、何体のホブゴブリンが出てくるのかしら」
「25体かな」
「うわぁ」
「それはしんどいなァ」
「さすがにそれはない気がする、五階ごとにボスが出てくる、ってキャットシーさん言ってたし」
ぴくん!
「にゃぁにゃぁ、またこないかなぁ、にゃにゃあ」
ミコルちゃんが、キャットシーという単語に反応した。
「しかし、そんなこと言ってる場合じゃないわね」
そう、目の前には確実に広がる、4体のホブゴブリン。
3体で十分強かったホブゴブリン。
「また新しい戦略を考えないと、一気にやられる!気を抜くなよ!みんな!!」
そう僕がみんなに言ったところ、ホブゴブリン達が襲いかかってきた。
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