第六十二話 魔導の塔と半分の力

4人:3体の戦いで土壇場で思いついた方法は、僕が2体を相手にして

1/2ずつ、つまり0.5ずつホブゴブリンの相手をするといアイデアだった。

相手にするというよりは、意識をこちらに向けて向こうに連携をさせない、ということが重要だ。


2体連動でホブゴブリンが攻撃してきたら、ひとたまりもない。


僕が2体を同時に相手にすることによって1:2.5:0.5の三分割が出来る。

2.5のホブゴブリン、つまりラクスとミコルちゃんと僕が相手をしているやつを倒してしまえば、4人:2人になってかなり有利な戦いになる。


半分ずつ戦う、みたいなことが出来るのが

魔法使いの強みであると思う。

剣士にはできないことだ。

そもそも、遠隔攻撃が可能というのはそういうことでもある。


「ファイヤー(MP小、スピード速い)」

僕が一人で相手をしているホブゴブリンに向かって炎を放った。

あちらを意識させないことが重要だ。

向こうで戦いが始まるまえに打った。


「グググググ」

ホブゴブリンに命中して、ホブゴブリンは唸りをあげた。

打ち震えるホブゴブリン。


「君はこっちだよ」

このホブゴブリンには僕の方に向かってきて欲しかった。

他の2体のところに向かわせてはならない。


「よし、怒ってる怒ってる。」

ホブゴブリンは、こちらを向いて力をためてる。

剣の握りが強くなった。

怒らせては見たものの、あれを受けたらやばそうだ。


「ファイヤー(MP小、スピード速い)」

もう一度、顔面に目掛けて、打ちはなった。

しかし、ホブゴブリンは止まらない。


「ググググ」

ホブゴブリンは顔面を気にせず、こちらに向かってダッシュしてきていた。


「まずい、これを受けたら死ぬ!」

僕は本音を口に出した。しかし、まだ余裕はあった。

オーラを全身にまとい叫んだ。


「ワープ」

横に飛んだ。


突然のワープで、ホブゴブリンは目標物を見失ってつんのめった。

そして、僕を探している。


その頃、ラクスともう一体のホブゴブリンのつばぜり合い。

隙が空くのを待っている。

ちょうどその時、ミコルちゃんがファイヤーを唱えた。


ホブゴブリンは盾で防ぐ。

そのころ、僕は、もう一体のホブゴブリンをワープで避けていた。

「いまだ!ファイヤー(mp小、スピード速)」


盾で片方のミコルちゃんのファイヤーを防いでいたので、もう一方の剣を持っている方の手に直撃した


「ググググ」

腕に炎の直撃をうけ、怯んだ。

「今だ!ラクス!」


「わかったわ!」

ラクスがその隙をついて、斬りかかった。そして、ホブゴブリンは消滅した。


「やった!」

そう僕が言った頃、もう一体のホブゴブリンが、猛スピードでやってきていた。そう、まだこっちがいたのだ。怒り狂って僕をさがしていたもう一人のホブゴブリンが。


「半分だとこうなるよね・・・」

僕はつぶやいた。

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