第四十八話 魔法の進化

「フォッフォッフォ、出来てきたようじゃな」

「ジージ師匠!」

そうこうしていると、ジージ師匠が見に来ていた。


「その修業はそこまでにして良いゾ」

「ありがとうございます」

上空にウォーターを使って浮かせてあった巨大な岩をしっかりと地面にコントロールして置いた。

さっきまでやっていた、水のコントロールの応用だ。


「お主は言ってないことまで出来るようになるからすごいワイ。さっきのスピードのコントロールまでは意図してなかったワイ」

「ありがとうございます。オタクなものでつい」

元々の課題が良いからだと思う。

基本方針さえあれば、あとは効率化の話なので、誰でもできる。指針を決めることがやはり何事も難しい。

最大出力を上げて、コントロールの幅を増やすというジージ師匠の方針がかなり良いものであったことがわかる。


意図がわかれば何をやればいいのかもわかる。

そうすれば自分でどんどん修行を進められる。

方針を示すことは本当に価値が高い。


「良いことじゃワイ、ほかの弟子たちにも見せてやりたいのォ」

「お主からはワシも得ることが多くて、勉強になるワイ」

ありがたいことである。プログラマー時代もそうやって来た、自分で進めることが出来る人はどんどん先に進んでいった。


「そういってもらえると光栄です、ありがとうございます」


「ミコルも頑張っとるようじゃの!」

「ミコルちゃんのお陰で安心して、修行に集中できてます。ありがとうございます。」

「えっへん!そうなんだよ!ジージ!」

ミコルちゃんが胸を張った!


「フォッフォッフォ、次は何をやるかのォ、他の術を教えてもいいんじゃが、基礎体力向上にはウォータが一番向いておるのじゃ」

「そうですね、視覚的にわかりやすいですね。魔法力のコントロールには一番向いている感じがします。それから、わりと安全な魔法です。炎や氷はやっぱり危ない。」


「フォッフォッフォ、そうなのじゃ。岩を浮かせてるからあんまり関係ないといえばないんじゃがな」

と笑った。


そうはいうものの、この岩を浮かせるコントロールファイヤーでもできないことはないはずだけど、押してきた時に炎岩となって落ちてくるので、危険度は倍増だ。

たぶんジージ師匠はそういうことも考えて、炎ではなく水の魔法を教えてくれてるはずだ。

結局のところ魔法はオーラの制御なので、これができれば他の魔法でも役に立つはずだ、とここまで考えて思いついた。


「ここまでの基礎体力の向上、ファイヤーで試してもいいですか?」

「良いぞ、良いぞ!ちょうどやってもらおうとおもっとったとこじゃわい」

「ありがとうございます」


僕はウォーターの時のイメージと同じままにオーラを両手にまとい、だれもいない、岩に向かい、魔法を唱えた。


「ダブルファイヤー」

両手から高出力に均等な炎を放出した。


「おおおおおお」

「わぁぁぁぁぁ」


全員が絶句するほどの、すさまじい出力のファイヤーが放たれていた。

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