第四十七話 魔法の制御

「あ、戻った戻った!おにいちゃんすごい!すごい!」

上空にある、岩をウォーターで浮かせる修行を続けている。

こまかい調整により、寄ったり寄らなかったりするのを、目で見ながら確認する修行だ。


同じ高さを保つだけなら、出来るようになってきたので

ジージ師匠の命により、高さを変化させつつ、傾かないようにするという修行


ミコルちゃんが、この単純な魔法の修行に付き合ってくれているというのは、ほんとにありがたいことだ。本来こういう細かいことは好きだが、何かあった時に死んでしまいそうだ。


プログラム組んでいて死んでしまうことは多分ないだろうけど、魔法の修行をしてると結構簡単に死んでしまうと思う。やはり出力が高い。出力が高いものはいつでも自分の元に帰ってきてしまう。本当に大変だ。


そもそも、岩が落ちてきたら死ぬ。


高出力でも制御出来ているうちは、危機感が減って、ゲームのように感じてしまうのだ。これが大変危険なのだ、一瞬でも集中力を欠くと死ぬ。


ミコルちゃんはこんなかわいい感じだが、実際には僕よりも凄腕の魔法使いなので、何かあった時に、なんとかできるという部分がある。


魔法はとっくに肉体のちからを越えてしまっているので、暴発してしまった時に一人では、もうどうすることも出来ない。これがほんとに危険なことだ。これは科学もそうだが、一定以上の出力がでてしまったあとは、出力部分に触らないようにする工夫がなされる。


たとえば、高出力のドリルにはさわれないようになっている。ハンドドリルくらいの低出力だったらまだ回転軸を握るとグッと抑えたりすることも出来る物もあるが、工業用のものはもはや同じ空間に入ることもできない、対象物をセットして、外にでスイッチを押さないと行けない。


この訓練は、そういう暴走する限界をしるための訓練であると、僕は考えていた。安心して気絶することができる。そして、その状況じゃないとこんなに最大出力はあがらなかった。


「ほんと、ありがとね!ミコルちゃん」

「な、な、な、いきなり何をいってるのかな?おにいちゃん」

すごく照れた。


「手伝うのは当たり前なんだよ!おにいちゃん!」

「ありがとう!まだまだ、頑張るから!これからもお願いね!」

「もちろんなんだよ!おにいちゃん!」


ありがたかった、そして、噴水修行に意識を戻す。

10,9,8,7,6と目印を心の中で引いたことにより

だいぶコツがつかめてきていた。


「じょうずじょうず!おにいちゃんはこういうのは得意だね」

「そうなんだよね、こういう細かいところは得意かもしれないね」

だんだん、出来るようになってきたので、徐々にスピードをあげるようにして見た。


本当の噴水のようだ。


制御の世界では、速い動きは七癖隠すといわれていて、実は速い方が簡単だったりする。なので、こういう基本トレーニングはゆっくりやるべきだ。

速いトレーニングは最後にやるべき


「はやいはやい!すごいすごい!おにいちゃんすごい!」

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