第四十四話 超回復

「ナオヤおにいちゃん!」

ミコルちゃんの声が微かに聞こえてきたが僕は気を失った。


気がついたら朝だった。

「フォッフォッフォ、よく眠れたかの?!」

ジージが側に立っており、起きたばかりの僕に話かけてきた。

なぜ、ジージが横にいるのろう。思いだせなかったので記憶を探る。


「おはようございます、昨日、僕はどうやって・・・」

昨日の事を思い出す、確か左手で、岩をウォーターで持ち上げていたら、途中で気を失ったような。


「フォッフォッフォ、思い出してきたかの?きのう、おヌシは魔法力を使い果たして、気を失ったのじゃ。アレだけの魔法が使えるのに体力はなかったようじゃの!」

やはり、魔法力を使い果たしたと同時に、体力も使い果たして、気絶してしまったらしい。なんということだ。


「魔法使いってそういうものなのでは?」

「まぁ、そうじゃな、戦士よりは体力はいらんが、一応外で戦闘することも多いので、一定量の体力は必要じゃ、おヌシもそこからじゃのゥ。魔法力もある程度は体力と関係しておる。魔法力だけ鍛えることはできんのじゃ」

魔法使いがそんなに筋肉隆々のイメージはなかったので、率直に聞いてみたところ、最低限の体力は必要ということがわかった。


「なるほど、分かりました。」

やはり、魔法も筋トレの世界なのだろうな、と思う。

いわゆる超回復、筋トレの世界では超回復を利用したトレーニングが行われる。超回復とは、例えば身体が切れたりした場合、そこを最初の状態より膨らませて、回復させるような事を言う。つまり、ダメージを受ける前よりも強い状態で回復させる、ということだ。


なので、筋トレなどでは、限界の負荷をかけて、何日か休むというトレーニングをする。それによりどんどん筋肉が強くなっていくのだ。


「さて、今日は動けるかの?」

「はい、行けます!」

たっぷり一日寝て、十分元気を取り戻していた。


「ホレ、早速左手の力を試してみるぞい」

ジージは岩を砕いて、僕の上空に岩を投げた。

「昨日とおなじ重さじゃ、試してみるがよい!」


「はい!」

「ウォーター!」

昨日と同じように最大出力で、左手で岩に向かって水の魔法をうち放った。

昨日はギリギリ持ち上げられる位だったが今日は軽い。


「すごい!軽い!」

昨日よりずっと魔法力が扱える感じがする。

これがトレーニングの成果か、これはすごい。


「おお!すごいのです!」

隣で見ていたミコルちゃんが言った。


「フォッフォッフォ、さっそく修行の成果が出たようじゃの、これが魔法の修行じゃわい」

「すごい、こんなに出力が変わるなんて」

これから出来ることがかなり増える。基礎トレーニングは地味ではあるが、基礎体力があがると、戦略の幅がかなり増える。

かなり戦いやすくなることは間違いない。


「すごいですね、毎日気を失ってたら身体は持たないけど」

「まだまだ、これからじゃわい」

修行は始まったばかり

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