第二十七話 大魔法使いと稽古

この人が大魔法使いよ!

ラクスのその声が聞こえるやいなや、僕は魔法を唱えた。

いや、ラクスのおしりを触った瞬間だったかもしれない。

もう、覚えていない。


「ファイヤー!(MP小 スピード速)」

そう唱えると、空気を切り裂く速さで、大魔法使い、ことエロジジイの元に炎が届く。今まで最高の速さのファイヤーを放てた。

爺さんがいた場所に煙が上がる。


「え?!」

ラクスとガルク素っ頓狂な声をあげた。

二人が目を合わせている。

僕の行動を理解できなかったようだ。


「良くもラクスのおしりを!!」

僕がそう叫んだ!


「はい?」

「はいィ?」

ラクスとガルクは同時に声をあげた。


ぼくは何故か怒り狂っていた!この異世界に飛ばされて、ラッキースケベもないまま、魔法の練習ばかりしていたのに!!

この爺さんはこともあろうか、ラクスのおしりを!!!


許せない!!!


「ファイヤー!(MP小 スピード速い)」

「ファイヤー!(MP小 スピード速い)」

「ファイヤー!(MP小 スピード速い)」

ファイヤー三連射をエロじじいに叩き込んだ。


「おいおいィ、ナオヤがキレやがった!ラクス逃げろ」

ガルクが叫ぶ!ガルクはラクスの手をとって、炎の雨を抜けていった!


「ぼくのぼくのおしりを!!!」

僕は取り乱したままだった。

打てる限りのファイヤーをエロじじいに叩き込んだ。


「別にあなたのじゃないわよ!!」

ラクスはぼそっというと、ガルクは豪快に笑う。


「キャラ崩壊しすぎだろォ、ナオヤ、一体なにがあったんだよォ!」

ガルクが笑いながら、叫ぶ

「なにもないわよ!」

とラクスはガルクに言う。


一呼吸置いて

「何もないからかもしれないけど」

さらにぼそっと一言加えた。


「クククク、まぁ、これで、このまま修行になるなァ!」

「そうね、頑張ってもらいましょう」

ラクスとガルクは意味ありげに言った。


複数のファイヤーを当てた、エロジジイがいる場所から煙が上がっている。

「ウォーターじゃ!」

煙の中からエロジジイが現れた。

僕のファイヤー三連発を魔法で相殺していたらしい。

かなりの腕前だ。不意打ちだったにもかかわらず。


「なかなか手癖の悪い坊主じゃわい」

爺さんは悪びれもせず、そう言った。


「だれがよ!!」

「誰がだァ!」

生徒二人が突っ込んだ。


「へえ、やっぱりやるんだなぁ、これが大魔法使いか」


「全力を出せそうだ」

「かかってこい、手癖の悪いコワッパが」

と手をクイックイとうごかし、僕を挑発する。


「だから、だれがよ!」

「だから、誰がだァ!」


いままでの、ラクスたちのリアクションから

ワープをこの爺さんは知らないはずだ。

だからそれを活かした戦い方が一番効果的なはずだ。


「見てなよ、じーさん!」

「かかってこい、手癖のわるいコワッパ!」

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