第十八話 ガルクの実力

ガルクは意気揚々とダンジョンに入っていった。

僕はラクスに聞いた。

「彼はどのくらい出来るんですか??」


振る舞いから、ある程度できるのは想像できていた。しかし、実際のところの能力は

見てみないとわからないものがある。少し楽しみでもあり、怖いような気もする。

ラクスから見てどのくらいのものなのか、気になっていたので素直に尋ねた。


「すぐにわかるわ」


と、ラクスは言った。ガルクのことをいつものように、めんどくさい幼なじみというのではなく、

すこし誇らしげに見えるラクスの振る舞いで、なんとなく想像はついてきた。

めちゃくちゃ弱いということはどうやらなさそうだ。


「おらァ」

そういいながら、ガルクは、大太刀を古い。ゴブリンを吹き飛ばしていた。

ラクスのようにしなやかに剣で斬るのではなく、太刀で吹き飛ばすスタイルだった。

いままで、ラクスの美しい剣筋を見ていたので、正直びっくりした。


「なんちゅー戦い方だ」

僕は、いままでのガルクの振る舞いから、彼の実力をなめていたのだろう。

実際に見てしまえば、かなり気持ちがいい、力が言葉になる異世界そのものの体現者のような男だ。

もう早速ゴブリンを一体倒していた。


「うわ、ゴブリン倒しちゃったよ。瞬殺」

ほんとに一瞬だった。独特の力に任せたスタイル。彼がうちのメンバーにいてくれたら

かなり頼りになる。なにせ、ラクスがダメージを一手に引き受けなくてすむ。


「ごめん、なめてた!!めっちゃすごいよ!これからもよろしく頼むよ!」

「うおィ!なんだそりゃ、朝の態度はなんだったんだァ!」


「ごめん、ごめん、謝る謝る。それからサポートするよ」

「クククク、ファイヤーでか!?ンなもんいらねェよ!」

丁寧にもガルクは僕の申し出を断った。うまく連携しないと仲間に攻撃されてしまうからだろうか

僕はかなり不思議に思っていた。連携した方が効率はいいけど、なんでだろうか

ファイヤーが嫌いなのかな。


「え?なんで」

僕は、素直に、ガルクに聞いてみた。素直に教えてくれるとは思わなかったが

理由がわかっているとその後も戦いやすい。


「ちょうど、ゴブリンがやってきたな」

さらにもう一匹先程倒したのとは違うゴブリンがこちらに向かってきていた。ガルクをねらっているようだ。


「ググググ」

ゴブリンがうめき声を上げながら近づいてきた。ガルクは余裕の表情を崩さず

あまつさえ、こちらを見て、笑った。


「ククク、見てな!」

剣を持ってない方の手を、ゴブリンに向けてかざし。魔法を唱えた。


「え、まさか」

僕がそう言う間もなく


「ファイヤー!」

いままでの僕のファイヤーとは次元の違う、大出力のファイヤーだった。

これが本物のファイヤーだ。すごい、いままでの僕のものとはまるで違うものだ

彼の実力は本物だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る