第194話

「ありがとう」


 それから私は、今この街にいること、丹波にかんするいきさつや情報をすべて話した。


 さらに街を見た感じから不良たちがどんなところにたまっているかということを思いだして、その情報も全部つたえた。


 そこが丹波が立ちよりそうな場所のはずだから。


 そして最後に、私は今ケータイがないから連絡がとれないけれど、定期的に公衆電話をつかって理子のケータイに私から電話をするということもつたえた。


 理子は今から天野くんとこっちにむかって、そのままふた手にわかれて丹波探しを手つだってくれるといってくれた。


「あんたが、そんなに恋していたなんてね」


 茶化すように理子はいう。私はかあっと耳が熱くなる。


「ごめん。お願い」


 そういって公衆電話の受話器をおいた。


 ちゃりちゃりと返却口から十円玉が四枚戻ってきた。


 私はそれを財布にしまい、街のはずれの電話機からアーケードのある繁華街にむかって走った。

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