第188話
いまだ修理にだしたままのケータイ電話さえあれば、あるいはなんとかなったかもしれない。
そこには丹波の連絡先がメモリーされているから。
だけど、今手もとに私のケータイ電話はない。
唯一わかる知人の番号といえば、入学まえのガイダンスのときに持っていたケータイのほうにメモリーした理子の番号のみだった。
やきもきした。
なにやってんだろ。
自分を責めた。
日曜日の丹波の予定をきいておけばよかった。
なんで先ほどずっといっしょにいたのに、あんなにたくさんしゃべったのに、私はそういう話しをひとつもしなかったのだろう。
後悔した。
もしも丹波が明日どこにもでかけないならそれにこしたことはないが、そんなのどこにも保証がない。
ならば、つたえなければならない。
私は丹波に守ると約束したのだから。
私のこのあせりがただの
ろくでもない絵ばかりが鮮明に見えてしまう。
どきどきと胸が高鳴った。
ベッドにはいっても落ちつかない。そわそわする。頭が白くなっていく。
耳の奥がきーんと鳴って、脳の一番まんなかで白い光が爆発した。
とにかく明日、あの不良たちよりも先に丹波を見つけなければならない。
それが私にできる唯一のことだ。
そして一睡もできないまま、朝がきた。
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