第109話
「すみませんでした。本当に」
私は昨日さぼったことをあやまった。
事情はどうであれ、私がバイトをさぼってしまったことはまぎれもない事実だ。まずはきちんと謝罪しなければならない。
もっともいいわけをしようにも、そんなものはできるはずもなかった。
私の通う学校での事情などアルバイト先では関係ない。もちろんそんな話しをするつもりも始めからないので、私はただひたすらに平あやまりをするだけだ。
「まあ」
店長は私の言葉をさえぎっていう。
「とにかくぶじならよかったです。安心しました。ただ……」
店長はいいにくそうにいう。
「こんなことをされては、こちらとしても仕事に穴ができてしまう。それは、わかりますね」
七三わけの店長はかなしそうな顔をしている。
「はい」
私はうなずく。その時点でいやな予想はできていた。それがこのアルバイトのルールだからだ。
「今までいっしょうけんめいやってくれたのはわかります。けど、こちらも遊びじゃありません。うちのアルバイトの条件は面接のときに宮沢さんにも話しましたよね」
店長は言葉を続ける。私は覚悟を決めて返事をした。
「いかなる理由があっても、無断欠勤をしてはいけない」
「そうですね」
店長は残念そうにいう。
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