第74話
担任は知らないだろうけれども丹波は今、教室にはいない。矢野たち不良グループに呼びだされて屋上でケンカをしているまっさいちゅうだ。
もしかすると集団リンチがおこなわれているかもしれない。
どちらにせよ、本人たちにしてみれば、超おとりこみ中というやつだ。
そんななかに他人がのこのこと近づくことなんてできないだろう。
私なんかが、くだらないことづけをつたえにはいるすきまなど屋上でおこなわれている事態のまえでは針の穴ほども存在しない。
「はあ」
盛大なため息がでた。
いかなければ、きっと私が怒られる。
だが、もともとあそこは不良がたくさんたまっているのだ。そこで今は絶対なにかが起こっている。
そんな現実を考えると、私は気持ちが重かった。
いきたくない。
本気でいきたくなかった。
ばっくれようかとも思ったが、そんなことをしてしまえば、私は担任からの印象が悪くなる。
いかなかった丹波ではなく、つたえなかった私がだ。
ただでさえ私はひとりぼっちで誰もたすけてくれない学校生活を送っているのだ。これで担任にまで嫌われてしまっては、目もあてられない。
せめてこれ以上孤立してしまう事態だけはさけたい。
現状維持のためにも私は屋上に丹波を呼びにいかなければいけないようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます