第25話
そんな流れが休み時間ごとにひっきりなしにおこなわれたので、なんともまあ異様な光景が教室後方では展開されていた。
なんというかクラスじゅうが浮ついてしまっているように私には見えた。
もっとも浮ついているのはまわりだけで、当の本人はいたって涼しい顔をしている。それぞれの思惑を孕(はら)んだ同級生たちのようすにも転入生はうんざりした顔も見せずに、ひとりひとりにあたりさわりのない対応をしてすごしていた。
もっとも、うんざりはしていないが楽しそうな表情だってしていなかったが。
なんというか事務作業という感じがする。
このあたりは、さすがイケメンといった感じだろうか。近よってくる人間のあつかいにやたらと慣れている。
なんだかなあ。
近よるほうと、近よられるほう。個人的には、どちらもバカじゃないかと私は思う。
こんなふうに一日じゅう、うちのクラスはイレギュラーな雰囲気だった。
だからといっても私の日常はなにひとつ変わらなかった。
もともと転入生がはいってきたところで、私はそもそもこのクラスの仲間ではない。ただのいじめの対象だ。
このクラスでおこなわれる行事すべてにおいて私はつねに蚊帳のそとなのだ。
このようすではいじめのターゲットが私から転入生の男の子に変わるわけでもなければ、かりそめの団結力を持った今のクラスの輪のなかに一員としてはいりこむこともできない。変わりばえのない日常は、あいもかわらず変わりばえはしなかった。
唯一よかったことといえば、転入生がきて人気者になってくれたおかげでその日はもうそれ以上、誰からもいやがらせを受けることはなかった。
まあ、これも今の一瞬のことだろうが。
そんな私の変わりばえのない一日は、変わりばえなく進行していく。
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