第11話
「あっ」
続いて階段のほうから声がきこえた。今度は男の子の声だ。
私はこの声のぬしを知っていた。これは私と理子のおおきな差のひとつ。なんといっても理子は大満足の学校生活を送っている。その証拠に、理子のとなりにはいつも男の子がいるのだ。
「おはよう。宮沢さん」
そういってひとりの男の子が理子のあとから階段をあがってきた。のぼりきって理子の横に立つ。
名前は
ほっそりした長身で、髪は黒のヴェリーショート。セルフレームのめがねをかけたやさしい顔のさわやかさん。声がちょっと低めでかすれていて、そのギャップがかっこういい。うっすら濡れている私に気づいてたずねてくる。
「またあいつらに?」
天野くんは、そういって心配してくれるが、それだけだ。とくになにもしてくれない。
もともと内部の生徒である彼が矢野たちに注意することはもちろんできないし、だからといって私を守るためにおおっぴらに私と仲よくしてくれることもできない。
そんなことをしようものなら、自分が矢野たちのターゲットにされる可能性がでてくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます