キャラクターが個性豊かで面白い♪ユーモアあり、丁寧な描写力で、もののけ好きには堪らない世界感にハマりました。もふもふ。サイコーです!
本作は近未来でありながら、どこか平安風の要素をちりばめた斬新な世界観が特徴です。式や妖怪、戦闘の仕組みなども深く作りこまれ、読めば読むほど味があります。特に陰陽道の五行などを組み入れたバトルは奥深いもので、自然現象さえ揺るがす熾烈な戦いの描写と、道臣の『曲解』を多用した奇策には息を呑みました。鬼の式が緩んだ理由、道臣とそのもふもふなヒロイン久咲の過去、そして百鬼夜行の主の正体。これから先も目が離せません。
ファンタジー系あやかし調伏物語ときくと、普通は百鬼夜行絵巻に出てくる異形や格好良い陰陽師を想像しがち。だが、本作は「真譚」と冠しているだけあって一味違う。あやかしは技術転移されて足代わりに、平安風の都市を陰陽師ではなく退魔師が闊歩し、陰陽術は密教的な解釈でアクションを彩る。混沌としていつつも、誰も生み出せなかった新機軸への挑戦は、ユーモアある会話と「もふもふ」への並々ならぬ愛情によって親しみやすく提示される。謎は多いが興味深い。すべてにおいて新しいあやかし譚をご賞味あれ!
この作品の魅力はまずはその世界観からだろう。古の世界を未来に反映させているところや、陰陽といったその時代情景を上手く表現しているところだ。何より極め付けが登場人物だ。これもまた個性的で面白い。「和」の世界にどっぷりとハマりたいのならおすすめ。そしてもふもふ。可愛くて素敵だよ、もふもふ。