二人称で語られる、こことは違う世界。『欠落症』に悩む少女たちの問題を、主人公――「貴方」が解決する物語。「家族愛」や、登場人物の「やさしさ」に心が揺さぶられる、素敵なお話しでした。
現代ファンタジーと推理小説を楽しめます。随所にお笑いもあって、飽きのこない作品ですね。次作も楽しみにしています 。
二人称と言う書き手にとっても読み手にとっても、扱いが難しい視点にも関わらず、全くと言っていいほど違和感を感じさせない。むしろ、それが物語に没入感を与える柱の一つになっている。物語の前半はコメディ色が強く、後半はミステリ色が強くなる。その前半に散りばめられた伏線の回収は圧巻された。登場人物たちは欠落症と言う病に侵されており、それによって悲しいエピソードが沢山語られるが、それ以上に心がほっと暖かくなるエピソードも満載だ。これは、間違いなく家族愛の物語であろう。