実験室編20

俺はハイデルの攻撃にあい動けないでいた

恐ろしい魔力だった

そして、俺はマ-ニャのピンチに

何とか力を振り絞って立ち上がる

そして、立ち上がりハイデルの目を見た瞬間…!

初めてあの森でハイデルと対峙した時の事を思い出した

すると途端に足がガクガク震えてきた

「あっ…あっ…」

ハイデルに一発で倒された映像が頭の中から離れない

情けなかった…怖かった

心を強くしようにもその映像が

俺の頭から離れることはなかった

すると声が聞こえてきた

「ワタル落ち着いて!」

ミネアだった

嬉しかった…でも身体が動いてくれないんだ

それに…ハイデルが恐い…

そう考えていると再び思考は闇の中にへ消えていった…

するとミネアは突然方向転換して

マ-ニャの元へ駆け出していった

「あああああ----!!」

マ-ニャは再び立ち上がる

「ん-懲りない子ですねえ-」

そしてハイデルは諦めたように言う

「んん-しょうがありません…」

「もうこっちに来られないように

手足の一本くらいは吹き飛ばしておきましょうか」

俺はガタガタと恐怖に駈られ

ハイデルを止めることはできない

そしてハイデルの言葉は俺には聞こえていなかった

ハイデルは片手をかざす

「ダ-クボム!」

バ-ン!と激しい音と共に

それはマ-ニャに直撃した

そこは煙が立ち込めていた

直撃したかのように見えたその魔法は

マ-ニャに直撃していなかった

そして、そこにはミネアがいた

マ-ニャが一瞬我に返りハッとなる

「お姉…ちゃん?」

「もう…ほんと心配させる子なんだから…」

優しい目でミネアはマ-ニャを見ていた

しかしマ-ニャはある事に気づき慌てる

「お姉ちゃんその傷!?」

ミネアの背中は真っ黒になり少しただれていた

マ-ニャへの攻撃を自分の背中で受け止めたのだ

しかしミネアは言った

「な-にかすり傷だよ」

「こんな傷…」

「マ-ニャが傷つくことを考えたら何てことはない」

「でも…でも…」

マ-ニャはミネアのことが心配になり泣きそうになる

そしてミネアは両手を

マ-ニャの顔につけ力強く言った

「私は大丈夫だから…」

「それによくお聞き!」

「今は言いあってる暇はないの…」

「それより私はワタルの元へ行かなきゃならない」

「マ-ニャ…このままだとワタルが危ない…!」

「少しでいいからハイデルを引き付けて!」

少しマ-ニャがまごついていた

うまく気持ちが切り替わらないのだろう

「いいから早く!!」

そうミネアが叫ぶとマ-ニャは真剣な顔になる

「うん!」

ミネアはワタルの元へ走りだし

マ-ニャはハイデルに向かって大きく構える

そしてハイデルは不思議そうに言った

「おやおや--?」

「手足の1つや2つ吹き飛んだと思ったのですが

お姉ちゃんに庇われてしまいましたかぁ-」

「麗しい姉妹愛ですね…シクシク」

そう話してる間にミネアは

ワタルの元へどんどん近づいていく

しかしハイデルはその事に気づいてしまう

そして言った

「あれ-」

「そうこう話してるうちにワタルの元へ…」

「そんなにワタルのことが気になるんですか」

「しょうがありませんね-」

「ちょこまか動き回られると少し迷惑です」

「二人まとめてしばらく眠りなさい」

「まぁ身体の4分の1くらいなくなっても

どうという事はないでしょう」

「はっはっはっ」

ハイデルは暗黒の笑みで笑う

俺は何とか落ち着いてきた

俺に駆け出してくる人が見えた

ミネアだった

目の前でミネアが何か必死に叫んでいる

でも頭がボンヤリして

ミネアが何を言ってるのか聞き取れない

「ワタル!」

「逃げて!!」

しかしハイデルは大きく目を見開き言った

「もう遅い!」

「ダ-ク…!」

そうハイデルが詠唱を終えようとした瞬間…!!

トビラがダ-ン!と開いた

何事かとみんな扉のほうを見る

そこには影が見えた

「待たせたなぁ」

「お待たせしました!」

「あっ…あっ…!?」

ミネアとマ-ニャは目頭に涙を貯めながら歓喜の声をあげる

バ-ジェットとツバサだった


「二人とも無事で!?」

ミネアが言った

「ま-何とか…」

「二人ともこんなズタボロですけど…」

「あはは…」

そう照れくさそうにツバサは笑った

二人とも身体中が傷だらけだった

その傷はいかに激しい戦いかを物語っていた

そしてツバサは言った

「でも…」

「ええ…」

みんなワタルの方を見る

するとつかつかとバ-ジェットがワタルの目の前までやって来た

…その瞬間!

「パ-ン!」

と音が鳴りひびいた

バ-ジェットがワタルを殴った音だった

みんな固まった

俺は何がおきてるのかよく分からなかった

なぜ殴られてるんだろう?

なぜ目の前にバ-ジェットがいるんだろう?

そう考えているといきなり

バ-ジェットがワタルの胸ぐらを掴む

そして言った

「おい…しっかりしろ!」

「お前は俺たちの大将なんだろうが!」

「こんなところでビビっていてどうする!!」

「世界を旅して回るんだろ!?」

「村長の仇を取りにいくんだろ!?」

「人界に行くんだろ!?」

そして改めてワタルを問いただすように叫んだ

「回りをよく見てみろ!!」

そこにはみんながいた

みんなが俺を見つめていた

「みんな…」

すると不思議なことに

俺の中にあれほど渦巻いていた恐怖心が

みるみるうちにス---っと消えてなくなっていく…

「おっ」

「やっと元の表情に戻ったな」

そうバ-ジェットが言った

「うんいつものワタルだね」

ツバサも言った

「ありがとう…バ-ジェット」

「そしてツバサ…」

「約束したでしょ」

「後で必ず行くって」

そうツバサは笑った

「そうだったな」

俺もつられて笑ってしまった

そしてバ-ジェットは言った

「礼はあいつをぶっ倒してからで…」

「ああ…そうだな」

みんなが見据える先にはハイデルがいた

仲間がいるだけで力が溢れてくる…

俺たちは約束通り全員揃った!

こんな頼りになる仲間は他にはいない!

あれだけ劣勢だったのだが

今は不思議と負ける気はしなかった

それに5人の心は一つになった

今は戦う

みんなの力を…信じて

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