実験室編16
そして俺たちはトレアを囲むような配置についた
しかしトレアは言った
「なに初めのときと同じじゃない…」
「懲りない子たちだねえ-!」
「呪木の…」
「はああああ…!!」
そうトレアは叫ぶと何と俺たちの地面の下から
巨大な巨木が浮かび上がってきた
何だ…この力は!?
トレアから今までにない邪悪な力が
溢れ出てきているように感じた
本能的にヤバイと察し
すぐにミネアとマ-ニャに指令を出す
「ミネア!」
「マ-ニャ!」
「ああ!」
「はい!」
巨木や他の木々の攻撃をうまくかわしながらも
二人は左右からトレアに詰めよって行く…
「はぁあああ--!!」
「大風のいぶき!」
「聖黒の鉄槌!」
激しい三人の魔法戦が続いていた
二人とも何とか引きつけてくれているようだった
しかし決定的な瞬間までには至らない
そして、戦うにつれ何とトレアの邪悪な力は
どんどん増していった
そして二人でも対応しきれない巨大な力へと変貌していく…
そして何とミネアがトレアに捕まってしまった!
「ぐぉおおお---!!」
そして…そこにはもうトレアの面影はなかった
邪悪な力に飲み込まれてしまったんだろう…
醜い姿へと変貌を遂げたトレアは
恐ろしい力でそのままミネアの首を握りつぶそうとする
「マ…ニャ…」
ミネアは何とか首を強く握り締められている状態で声をふりしぼり言った
「あああああ---!!!」
マ-ニャは何と!もうトレアの懐まで来ていた
そして、ありったけの力で魔法を放った
「お母さん…ごめんね…」
そうマ-ニャは泣きそうになりながら
申し訳なさそうにポツリと言った
「黒のともしび!」
トレアがマ-ニャの魔法をお腹に食らい大きくのけぞった
マ-ニャはチラリと俺のほうを見た
「今だ!」
俺はそう叫んだ
今以外に絶好のチャンスはなかった
俺は集中した
そして、全ての力をこの剣に託す
ミネアやマ-ニャがせっかく作ってくれた
このチャンスを逃さないためにも…!
「はぁああああ--!!」
「一刀流…剛流鉄砕剣!!」
俺の剣は腕輪に向かって素早く伸びていく
その時…!
パリン!と共にヒビが入り腕輪は割れた
すると森はみるみる内に元の地下牢へと戻っていく…
そして俺は叫ぶ
「ミネア!」
「マ-ニャ!」
二人の方へ駆け出して行くと幸いにも二人とも無事だった
そして、トレアの方に顔を向けるとボ-ゼンとしていた
みんなは!?
みんなのいた方角を見ると
気を失ってはいるが無事のようだった
どうやらトレアは腕輪が割られたことに対するあまりのショックで
みんなを殺す考えまでには至らなかったらしい
俺はほっと胸を撫でおろした
すると反対の方角から
この世の者とは思えないような雄叫びが聞こえてきた
その声の主はトレアだった
「がぁああああああ---!!」
「バカなバカなバカなぁああぁあああ---!!!」
トレアは醜い身体で天井に向かって叫んでいる
そして地面に頭を擦り付けた
「ドクターベルケル様申し訳ありません」
「ドクターベルケル様申し訳ありません」
「ドクターベルケル様申し訳ありません」
「ドクター…」
「ドクダァ-……」
「ドグダァあ゛あ゛---……!?」
「きゃっ!?」
マ-ニャは叫んだ
どうやら目を覚ましたらしい
しかしマ-ニャの方に気をやってる余裕は俺にはなかった
そして醜い姿のトレアの方へ目を向ける
トレアの醜い身体が更に邪悪な力に溢れ
そして膨張し異形の巨大なモンスターへと変貌していく…
もう見ていられなかった…
そして異形の巨大なモンスターになりつつあるトレアを注視していると
更に信じられないことが起こった
森が…森がまた復活し始めようとしていたのだった
「森が…!?」
俺たちは叫んだ
そしてこの邪悪な巨大な力…
いくらトレアが強いとはいえ
1黒魔女の力ではありえない…
そしてある恐ろしい考えにいたる
まさか…!?
ドクターベルケルはトレアの身体に何かしたのか!?
それが森での戦いでトレアから
溢れていた邪悪な力の正体なのか!?
今目の前に異形の身体になって苦しんでいるトレアも
この現状もお前が全て絵図を書き生み出したというのか…!!!!
俺はこらえようのない怒りに苛まれていた
トレアは少なくともお前を信じていた…
それなのに…それなのに…!
こんなのって酷すぎる…
「くっ……!」
俺は目に涙を貯めながら顔を背けた
そして目の前には異形の姿になりながらも
涙を流しドクターベルケルに
いまだ許しを乞うトレアの姿がそこにはあった
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