実験室編13

場面は変わって地下へ

トレアは叫び声をあげながら

俺たちを襲ってこようとした…

しかし途中で何故か立ち止まった

「ふふふふ」

トレアが不気味な笑顔を見せた

そして言った

「そう言えば自己紹介してなかったわねえ」

「私はこの城を守りし最後の者…トレア」

「ここからは行かせないわよ」

そう言って俺たちをそこから動かず不気味に見据えていた

仮にもミネアやマ-ニャの母親…

そしてハイデルへの最後の壁だった

一筋縄にいくとは思えない

トレアが余裕の表情でそこにいるからには

何か策があるのかもしれない

迂闊に近づくのは危険だし

トレアの様子をうかがっていた

その時…!

後ろから悲鳴が聞こえた

「きゃっ!」

後ろを見るとマ-ニャがが木の枝に吊るされていた

いつの間に!?

そう考えた一瞬の間にミネアの声がした

「ワタル下!」

下を見ると木の根が俺を掴もうとしていた

「うぉっ!?」

根に足を掴まれるすんでの所で俺はジャンプした

そして、すぐさまマ-ニャの所へ行き

掴まえている枝を切り落とし

マ-ニャを救出した

何がおこってる!?

俺は動揺していた

確かにトレア以外敵はいなかった

トレア以外の敵の気配も感じない

それに、一度もトレアも魔法を使ったそぶりも見せていない

それなら何故!?

俺は不気味な笑顔で佇んでいるトレアに目をやる

俺の意図を察したようでトレアは静かに口を開いた

「ふふふ」

「何で木の枝や根に襲われたのか不思議に思ってるようね-?」

「このままあなたを殺してもいいのだけれど

それだとあなたを殺したあとに

ミネアやマ-ニャに逆恨みされても困るしねえ」

「いいわ…特別に教えてあげる」

そう言うと説明をはじめた

「私は…木を自在に操ることができるの」

「!?」

「根や枝だってもちろん操ることができるわ」

「ふふふ…これで説明は終わったわよ?」

そして、大きく目が見開かれる

「これで楽になりなさい!」

そう言うとまた枝や根で俺たちを掴もうとする

しかし、仕掛けが分かった以上

そう簡単に捕らえられるわけにはいかない

そして、ジャンプをして他の場所を移動すると

トレアの操った木々が襲ってくる

切っても切ってもキリがない…

三人とも消耗していく

そして、気がつくと俺たち三人以外は

トレアに捕らえらていた

「みんな!?」

そう叫ぶがみんなの意識はない

そしてトレアは言った

「呪木の風!」

トレアの操る木々が一斉に俺たちを襲ってきた

「分が悪いな…」

俺たちは逃げ回るしかなかった

トレアは饒舌な口調で語りかけてくる

「おっほほほ…」

「そんな逃げてばかりじゃ私を倒せなくてよ-?」

確かにその通りだった

このまま逃げていても勝負はつかない

そして俺はある考えにいたった

そして二人を呼ぶ

「二人ともよく聞いてくれ」

「このまま逃げ回っていてもあいつには勝てない」

二人ともうなずく

そして言った

「だが今まで戦ってきたなかで思うに…」

「トレアの操る木々の力にも限界がある」

「三人とも一斉に襲えば勝機を見いだせるかもしれない」

「二人ともトレアを囲む形で分かれてくれ」

「分かった」

「分かりました」

即座に二人は自分の言ってることを理解してくれた

そして、みんな位置についたようだった

俺がトレアの正面

そして、ミネアが右後ろ

マ-ニャが左後ろ

トレアを囲む形だ

しかしトレアは俺たちの思惑に気づいたようだった

そして叫ぶ

「小癪ねえ…でもなめないでちょうだい!!」

そう言うと何と地面の下から上から左右から

木々が襲ってきた

俺たちに逃げ場はもうなかった

「ぐぉっ!」

「きゃあ!」

三人は捕らえられてしまった

「やっと捕まえたわよ-」

トレアは満足気に言った

そして光悦の表情で語る

「しかしドクターベルケル様は凄いわぁ-」

「こんな力を私に下さるなんて…」

「それにこのフィ-ルドの力…」

「フィ-ルドの力!?」

「そうフィ-ルドよ」

「不思議に思わなかった?」

「なぜこの地下牢が森になっているのか…」

「ふふふ…それはね」

「ドクターベルケル様が下さったの…この希望の腕輪を…」

「希望の腕輪!?」

そういうと自分がはめてる腕輪を俺たちに見せた

「そう…この希望の腕輪わね」

「使った者の思い描いた情景なら

ある程度までなら具現化してくれるのよ」

俺たちを捕まえてもう勝負はついたと思っているのか

トレアはさらに話を続けた

「私は初めのうちは城の前の森で罠を張ってあなた達を

迎え伐つって言っていたわ」

「するとドクターベルケル様は

この素晴らしい腕輪を私に下さったのよ」

「まぁあの二人が俺たちにまかせろとか言うから

しかたなく譲ってやった部分もあるのだけれどね」

あの二人とはゼットンとカ-ズだろう

しかし、この時はドクターベルケルが

なぜ希望の腕輪をトレアに渡したのか

恐るべき思惑が秘めていることに

誰も知るよしもなかった」

そしてトレアはそんな思惑を知るはずもなく話を続ける

「しかしウフフ…」

「ここでゆっくりミネアやマ-ニャと

話せたしここで良かったのかもね」

しかし、俺たちにとてもトレアが

ここを選択してくれたことは良かったのかもしれない

もしトレアが城の前の森で罠を張っていたら

この木々を操る能力で俺たちの戦力を

大幅に失っていたかもしれないからだ

「さあて…」

そして邪悪な笑みを見せながら

トレアは俺に近づいてきた

「あなたは特別に私の手で殺してあげるわ…」

「可愛い娘たちをタブらかしてくれた罪でね!」

「おっほほほ-死になさい!」

トレアの魔の手が俺に迫ってくる…

しかし絶対絶命だった

身体を枝や根に絡み取られ身動き一つできない

「くっ…!?」

「あっははは---!!!」

ミネア「ワタル!」

マ-ニャ「ワタル!?」

「うおおおお---!!」

どうしようもなかった

俺は覚悟を決め目を閉じた

トレアの気配を感じていた

もう駄目だと思った

しかしそのとき…!

一つの声が聞こえた

聞き覚えのある声だった

「やめて!!!」

その声と同時にトレアは吹き飛ばされたようだった

「なに!?」

トレアは驚いていた

そして俺も驚いた

何と俺の目の前には…

マ-ニャが立っていた

「マ-…ニャ?」

「ワタル…!」

「大丈夫!?」

「ああ大丈夫だ」

俺はそう答えた

しかし頭の中は真っ白だった

俺やミネアでさえトレアの木々から

脱出できなかったのにどうやって!?

しかし何故か不思議な感覚が俺を襲ってくる

何かとても安心する…そして温かい…

マ-ニャを見ると何か不思議なオ-ラが

身体から溢れだしていた

トレアは声を失っていたようだった

しかし何とか我にかえったようだった

そして鬼のような形相でマ-ニャに問いただした

「あんた…何だい!?」

「その…力は!!!」

「今まで感じたことのない力だよ!?」

そしてミネアは嬉しそうに

目尻に涙を浮かべながら言った

「マ-ニ゛ャ…あんたって子は!」

ミネアは何かを知ってるようだった

トレアは呆気にとられている

しかし何なんだこの力は…!

その答えはミネアのみ知っていた

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