実験室編11

フロ-ラル様はバ-バラにあの魔族が

唱えている魔法の弱点について語った

バ-バラはフロ-ラル様の弱点についての発言を待っていた

そして言った

「今あの魔族は右腕に力を集中させています」

「そんなことは百も承知だ」

「いいえ分かっていません」

「だから何を言って…!」

「右腕に力が集中している…そう言えば分かりますよね?」

バ-バラはハッとした表情でうなずいた

そして言った

「そうか…!」

「右腕以外の攻撃はあまり攻撃力はないってことだな…」

「ええ」

「まず一番最も警戒しなければならないのはあの右腕…」

「もちろん他の部分の攻撃も警戒が必要ですが

それほどの致命傷を私たちに与えれことはできないでしょう」

「何があってもあの右腕からは注意を離さないで下さい」

フロ-ラル様はそう言った

「分かった…」

「さすがだな」

「えっ何か言いましたか?」

「いや…何も…」

フロ-ラル様はバ-バラが言ったことが

聞こえていなかったみたいだった

そしてバ-バラはフロ-ラル様を感心していた

自分には考えもしなかったことだ

恐怖に駆られ冷静な判断が普通はできなくなる

私はそうだった…あの魔族のどうしようもない力に恐怖してしまった

しかしフロ-ラルはあの中一瞬で…

さすがシェリルの娘

そして私たち黒魔女と

長い間争ってきただけのことはある

敵だと厄介だが味方だとこれほど頼もしい者は他にはいない…

実はフロ-ラル様もまた同じような事を考えていた

私1人ではあの魔族に到底手も足も出なかったでしょう

ついこの前までバ-バラとは敵同士…

まさか一緒に戦うなどという事は夢にも思わなかった

それが強敵を前にこうして力を合わせ二人で戦ってる…

味方だとこんな頼もしい者はいない…

そう考えていた

二人は目を合わせコクリとうなずいた

そしてフロ-ラル様は付け加えて言った

「それと…」

「それと?」

「あの魔族は当然あの右腕で

私たちを殺そうとするでしょうから

厄介なあの遠距離攻撃はそんなしかけてこないでしょう」

「それと無理に私たちの不利な近距離戦に

付き合う必要はありません」

そう言うとバ-バラは納得したようだった

「分かった」

「大丈夫です!」

「私たち二人が力を合わせれば…きっと勝てます!」

「行きまょう!」

「おう!」

何とかバ-バラの目に生気が蘇ったようだった

そして二人の息はぴったりだった

さっそく魔族はフロ-ラル様が言ったように

近距離戦をしかけてきた

しかしバ-バラやフロ-ラル様はそれに付き合わず

右腕だけを最警戒し

そして、何とか距離をおきながら攻撃していく

確実にあの魔族にダメ-ジが蓄積され二人に有利だった

しかし、俄然二人の魔力が尽きかけているのには変わりない

そして、ボロボロになりながらも

二人は何とか有利に戦っていた

しかし、なかなか活路を見出だせずに焦っていた

もう少し時間と魔力があれば…!!

しかし、魔族はそのことに知ってか知らずか吠えた

「ぐぉおおお--!!!」

「おおやっと吠えたようだね」

そうバ-バラが言った

確実にその魔族を押してる証拠だった

そして、その魔族は少しの沈黙のあと…

極骨呪法を解いたようだった

このままいっても、らちが明かないと思ったのだろう

しかし、内心二人ともホッとしていた

無論、顔の表情には出さない

魔力が尽きかけてる今、

長期戦は二人にとって明らかに不利だった

それに着実にダメ-ジは与えているものの

いくら強力な魔法を放っても

それはあの右腕に邪魔をされていた

だがら、あの右腕は二人にとってはどうしても邪魔だったのだ

それからも三人の死闘は続いた

しかし、魔力もほとんど残ってないはずなのに

なぜが力が身体の中から溢れてくる…

二人とも不思議な感覚だった

しかし、それも限界に近づこうとしたとき

その戦いも終わりに近づきつつあった



「はああああ-!」

「うおおおお-!」

「白の覇道!」

「黒の覇道!」

「はぁはぁ…」

「はぁはぁ…」

「や…っ…た…か…?」

しかし、また息を飲んだ

二人とも限界だった

スキを何とかついて倒すも

またその魔族は復活しようとしていた

「はぁはぁ…キリがない…」

「このままじゃ…いくら倒しても…」

フロ-ラル様は涙目になり初めて弱気になった

諦めかけてるようでもあった

するとバ-バラは言った

「諦めるんじゃないよ!」

「さっき私が諦めようとしたとき…あんたは大丈夫だ…」

「私にそう言ってくれた!」

そして、フロ-ラル様の顔を手で下へ押さえつけた

「ちゃんと見な!」

「地上はどうなってる!?」

「えっ!?」

「ちゃんとその目で見てごらん!」

そこには死に物狂いになって

必死に戦ってるみんなの姿がそこにはあった

そしてフロ-ラル様は目頭に涙を貯めながら小さく言った

「みんな…」

「みんな必死になって…戦ってる…」

そしてバ-バラは熱く語った

「そうだ!みんな必死になって戦ってる…」

「苦しいは私らだけじゃないんだよ!」

「それに城へ向かった…」

「ワタル!ミネア!マ-ニャ!ツバサ!

バ-ジェットそしてみんな…!」

「みんな必死になって戦ってる!」

「みんな生きて帰る…そう約束したじゃないか!」

「それに…」

それからバ-バラはフロ-ラル様の顔を

真っ直ぐ見据えて言った

「それに私が死んだらお前さん1人で

これからどうやってみんなを率いて行くつもりだい?」

そう静かに語りかけた

「!?」

フロ-ラル様はハッとなった

今まで気づかなかったがバ-バラの顔を見ると

尋常じゃない汗が吹き出していた

もちろんフロ-ラル様も大汗をかいていたが

その汗の量はフロ-ラル様をはるかに越えるものだった

相当辛いのだろう

涙が出そうになる

しかしそれを我慢して

フロ-ラル様は声を詰まらせながら言った

「まさか…」

「ずっと我慢してたの!?」

するとバ-バラはコクリと一度だけうなずいた

「なんで…なん゛で…!?」

「言ってくれなかったの!?」

「いつから…!?」

すると分かりきってるだろと言わんばかりに

バ-バラは苦笑いをした

てっきりバ-バラは体調はいいものだと思っていた…

いや、そう思いたかったのかもしれない

しかし、バ-バラのことを考えると自然と涙が出てきた

止まらなかった

「なに泣いてるんだい?」

そう少しでも心配かけまいと

バ-バラは笑顔で言った

私はなんてバカなんだろう…

バ-バラは病魔の淵にいながら

周りに悟られずに必死に戦っている

私は何をやってるんだろう!

私は…

私は諦めない!!!

そう決心した

バ-バラはその表情を見て笑顔で言った

「お-いい表情になったじゃないか」

それから、復活しようとしている魔族を見た

そして、またある考えをフロ-ラル様は思いついたようだった

そして、バ-バラに耳打ちする

バ-バラはうなずいた

そして言った

「なるほど…確かにそれしか方法がないようだね」

二人はコクリとうなずきあい見つめあった

三人の最後の戦いが始まろうとしていた

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