ムズガルド帝国編13
俺たちは目を覚ます
ふと横を見るとバージェットはいなかった
俺は焦りバージェットを探そうとするとツバサは言った
ツバサも起きていたようだ
「ワタル…」
「バージェットはいないよ」
「調べたいことがあるとかで朝早く出かけた…」
「僕は危険だって止めたんだけど、
土地勘はあるし、盗賊稼業でこういうのは慣れてるからってそのまま出て行っちゃったんだ…」
「むしろ一人の方が動きやすいって…」
「そう…か…」
「うん…」
しかし俺は一度は納得するも、
昨日のバージェットの行動が気になり不安になる
そう…俺たちを置き去りにして出ようとしたことだ
しかしツバサはそんな俺の不安を見透かしたように
そして心配させまいとしているのか明るく言った
「バージェットは帰ってくるよ」
「だって約束してくれたもん…!」
「心配するな必ず戻ってくるって…」
「そう…か…」
「うん…」
ここに来て分かったことがある
それはバージェットは確実に何かを俺たちに隠していることだ
何も打ち明けてくれないことが…
悲しかった
場面は変わって城下町のとある場所…
そこにバージェットはいた
正体がバレないようフ-ドを被り聞き込みをしている
俺のことなんかどうでもいい
そんなことよりも俺たちがここへ来た最大の理由は徴兵に紛れることだ
しかし見渡す限り徴兵されてるような大軍は見えない
ここに見えないということはここにいないという事だろう
それにムズガルド城や城下都市にあれだけの大軍がいるとは考えられない
それなら導き出される答えは一つ
別の場所に集合しているのだ
こことは違う大軍が集結できる場所に…
しかし聞き込みはするもみんな知らないという
何としてでも見つけなければ…
そう考えているとある事を思い出す
なぜあの事を自分でも思い出したのか分からない
「うっ…」
「何で今さらあの事を思い出したんだ」
地下牢…
ジャキ…
ジャキの笑顔…
ジャキの怒った顔…
そう昨日の夢のことだった
走馬灯のように頭の中を駆け巡ってくる…
これからの事を考えなきゃいけねえのに…
それに…
ふっ
バージェットは自傷気味に笑う
情けねえな
あの事はあいつらに全部話すってあの時フロ-ラルに誓ったのに
何も話せねえでいやがるとは…
その時…
誰かが俺を呼んでいる気がした
呼ばれたような方向を見てみると
みすぼらしい一人の女性が俺を見つめていた
それは…
ウェリタスだった
「ちょっとあなた…!?」
俺は呼びかけられた瞬間に後ろへ猛ダッシュする
ちっ…!
何故こんな所にいるんだ
ここで仲間を呼ばれるのは非常にまずい
バージェットは大急ぎで逃げようとしていた
「何も捕まえるつもりはない」
「ちょっと待って!!」
しかしこの声は雑踏にかき消されバージェットには聞こえない
バージェットを前にしてウェリタスは叫び声をあげる
「あなたは一体…誰なの?」
場面は変わりバージェットたちと別れたウェリタスへ…
目が覚めてみると昨日の出来事は嘘のように静かだった
しかしあれは現実だったと頭の中では分かっていた
だがバージェットのことが頭から離れない
バージェットはああは言っていたが私について何か知っている…
そしてその事は私は知らないければならない…そんな気がした
だから今度はみすぼらしい格好に変装してムズガルド城を飛び出た
バージェットを探しに…!
それからしばし探し回っていると
偶然にもフ-ドをかぶって顔を隠してはいるが、
バージェットらしき人物を発見する
それにウェリタスでしか感じ取れない何かを感じ取っていた
思いきって声をかけてみる
「ちょっとあなた…!?」
その顔を隠した人物はふと顔をあげウェリタスと目が合う
バージェットだった
何も考えられずに…
そして真実を確かめるためにバージェットを追いかける
自分にある出来事が訪れようとも知らずに…
そしてしばしいたちごっこっが続いたのだがそれも突如終わりを告げる
バージェットは逃げる途中大きな叫び声があがったのが聞こえた
無論ウェリタスではない
そして再び別の叫び声が上がる
「人喰いドラゴンだ!!!??」
「うそっ!!」
「まじかよ!?」
「いや…!?」
「みんな…逃げろぉおおおお-!!!!」
「ゴブリン兵は何をやってるんだ!?」
様々な悲鳴や罵倒の声と共に上空を見上げると
圧倒的な存在感と共に人喰いドラゴンはいた
人喰いドラゴンとは魔界に出没するドラゴンである
ドラゴンとはいえ魔幻龍や伝説に出てくるようなドラゴンには遠く及ばない
しかし魔族を補食し喰らうドラゴンとして恐れられていた
時には上級魔族も餌食になるほどである
そんなドラゴンを前にして
逃げるごく一部の者以外は恐怖のあまり固まる
そしてそのドラゴンはそんなことを知ってか知らずか、
とある地上のとある地点を目掛けて一直線に飛んできた
その先には…
ウェリタスがいた
恐怖のあまり固まってしまったようだった
誰がどう見てもこの女は終わったと思った
バージェットだってそうだ
それにいくら助けてくれたとはいえ…
敵になるかもしれない
もしウェリタスがいなくなれば好都合だった
誰がどう考えてもそうなるのだ
しかしバージェットは気づくと、
いつの間にかウェリタス目掛けて一直線に走り出していた
ウェリタスを助けるために…!!!
「うぉおおおおお-----!!!!」
バージェットは叫び声をあげる
そして…
寸でのところでをウェリタス救出することに成功する
「えっ…!?」
ウェリタスは気づくとバージェットによって抱き締められていた
そしてウェリタスは自分がこの男によって助けられたことを一瞬で察知する
「あっ…あり…がとう」
ウェリタスは照れながら感謝の言葉を表す
しかしバージェットはドラゴンが倒れている方向を見て言った
「これで…終わりじゃねえぜ」
ウェリタスはハッ!としてドラゴンを見るとすぐにでも襲いかかりそうに身構えていた
「グァオオオオ----!!!」
獰猛な叫び声があがったかと思うと再び襲ってくる
「やべえな…」
バージェットはこの後の行動を見いだせずにいた
一人なら逃げきれるだろう…
しかしウェリタスを抱えては到底間に合わない
ドラゴンはもうすぐ目の前に来ているのだ
バージェットは覚悟を決めドラゴンに大きく構えたかと思うとどこからか声がしてくる
「ザ・シ-ルド!!!」
目の前に不思議な空間が表れそれが人喰いドラゴンの攻撃を守ってくれたのだった
「こ、これは…」
二人は驚きの声をあげる
そしてどこからか声がしてきた
「ふふふ…」
「遠征先からムズガルド城に帰る途中に突然人喰いドラゴンが表れ…
何事かと駆けつけて見れば、
これはまた意外な組み合わせですねえ」
「こ、この声は…」
ウェリタスはこの声が誰かを察し声を張り上げる
「ジャスティン…!?」
するとジャスティンはウェリタスに言った
「お久しぶりです」
「そんなことより人喰いドラゴンを…!?」
ウェリタスは叫ぶがジャスティンは至って冷静だった
「大丈夫ですよ」
「シ-ルドを張った直後にこやつに少し攻撃を加えておきました」
「致命傷とはいきませんが少しくらいなら話す時間はあるでしょう」
「それに…」
ジャスティンは不敵な目でバージェットを見る
バージェットはその目に気づき、
ジャスティンが何者なのか察したようだった
そしてバージェットは言った
「久しぶりだなぁ」
「あの時のガキがこんなデカくなっちまいやがって…」
「お久しぶりです…」
ジャスティンは答える
「二人は…知り合いなの!?」
3人にほんの少しの沈黙の間があったが、
話しはこのまますんなり進めてくれるわけではなかった
「時間切れだ」
とバージェットは言った
「ええそのようですね」
人喰いドラゴンを見ながらジャスティンは言う
人喰いドラゴンは復活し再び襲いかかってこようとしていた
二人は大きく構える
ウェリタスは何故か凄い安心感を覚えていた
この二人になら全てを任せてもいいような…
「いくぞ…」
バージェットはいった
「分かってますよ」
不敵な笑みを浮かべながらジャスティンは言う
ウェリタスもさすがは第一士団長…
落ち着きを取り戻し大きく構える
「はぁあああああ------!!!!!」
3人は人喰いドラゴンに立ち向かっていく
「王の…斧桜!!!」
「シ-ルドレイン!!!」
「必殺…10段突き!!!」
「ぐもぉおおお----!!!」
しばしの戦闘は続いたが何とか人喰いドラゴンを倒すことに成功する
「おおおおおおおお-----!!!!」
その場に歓声が上がる
3人はお互い見合い少し笑みを浮かべる
「さてと…」
「こっちも時間切れのようだ」
そうバージェットは言うと二人は気づく
ゴブリン兵が駆け出してきているのだ
そしてバージェットは無言のままその場から走り去っていく
「ちょっと…!?」
ウェリタスはすぐさまバージェットの後ろを追いかけていく
そして二人の後ろ姿を見つめながらジャスティンは言った
「ふふふ…」
「ここであなたを捕らえることは容易ですが、
あなたとはもっと別のふさわしい場所でまた巡り合う…」
「そんな気がします」
「それにあの時の真実も知りたいですしね」
「その時まで…」
ジャスティンもくるりと反対方向に振り返り
ゴブリン兵たちの元へ歩いて行く
場面はかわりワタルたちがいる民家へ
バージェット「戻ったぞ」
ウェリタス「戻った」
「お帰り」
みんなは言った
「………」
「………」
「………」
「………(´・ω・`)もきゅ?」
みんなはウェリタスに気づく
工工エエエエェェェェェヽ(゚Д゚;)ノ゙ェェェェエエエエ工工.
(;゚ ロ゚ )ナン!( ; ロ゚)゚ デス!!( ; ロ)゚ ゚トオオオオオオオーーーーー!!!!!!!!
時を同じくしてムズガルド城の玉座…
ゴゴゴ…
一人の全身緑色の皮膚をした男が、
玉座の横に膝をつき玉座の男にコソリと言った
軍師か何かであろうか…?
「ジュニア様…」
「ん…何だ…?」
「城下町に放っている密偵たちによりますと…」
「逆賊がらしき男が現れたとの報告がございます」
「逆…賊…?」
その男はピクリとする
そして確かめるように言った
「本物で間違いないのだな…?」
「確証はありませんが…」
「急ぎさらに情報収集に勤めよ」
「御意に…」
何かが大きく動き出そうとしていた
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