ムズガルド帝国編10


ワタルたちはヨサクの口からバージェット、ヨサク、ジェニ-の壮絶なる過去を知らされたのだった


そして時はしばし進み目的地であるムズガルド城近くに行ったころ


ツバサは言った

「ムズガルド城楽しみだなぁ」

バージェットは得意気に言った

「ふふふ…もうすぐだ」

「見たら腰ぶったまげるだろうぜ」

「なぁ?」

ヨサクやジェニ-に意見を求める

「そうっすね!」

「見たとき…腰抜かしましたよ!」

「まさかあそこまでとは想像もしてなかったっすから…!」

「うふふそうね」

ジェニ-も答える



そしてバージェットの案内でいよいよムズガルド城が見えるすぐの所まできた

いやがおうにも自分の気持ちが高ぶってくる

心臓がドキドキするのを感じた


そして森を抜けムズガルド城を見たときに俺たちは驚愕した


「うわぁ♪」

ツバサは感嘆の声をあげる

俺も目を奪われてしまう

ムズガルド城及びその下に広がる城下都市は俺の想像を遥かに越えていた

その様はもはやゴブリンとかそんな次元ではない

そこには臨然たる軍事国家が存在していたのだ


そして絵本で何百回と見たであろう上級魔族が住む国

そんな国が今、目の前に広がっていた


そのムズガルド城は中央にムズガルド城

そしてそれを囲うようにして城下都市

またそれを囲うようにして城下町

3層からの構造となっている


もし黒魔女や白魔女たちの国がこの近くに存在していたならば…

と考えると身震いする


「ぶったまげたな」

バージェットは驚愕していた

「ああそうだな…」

俺も同調する

「えっ?」

「(-_-;)なんでやねん!」

すぐさま俺はエルボー式ラリアットの突っ込みをバージェットの顔面へと食らわす

「ふごぁ゛…!?」

「オォォーーー!! w(゚ロ゚;w(゚ロ゚)w;゚ロ゚)w オォォーーー!!( Д ) スポポポポポポーン!!! 。 。 。 。 。 」

バージェットはオ-バ-リアクションでふっ飛ばされていく

まぁそんなことはどうでもいい


「いってえなぁ><;」

「何すんねん!ヽ((*;;┏Д┓;;)ノ彡」

バージェットは涙目ながらに訴えてくる

まぁそんなことはどうでもいい


と漫才みたいなコントをやっているとツバサは見かねたように言った


「バージェット…ムズガルド城のことを知ってるんだから何でそんな驚いてるの?」

「うん俺もそう思った」

「いやそれなら殴るなよ!」

バージェットは激怒しながら涙目になる


そしてバージェットはムズガルド城をちらりと見ながら語った

「いや…俺がいた頃より大分進化してるんだ」

「昔はあれほどまでの規模ではなかった」

「しかしこれほどまでの規模まで発展させやがるとは…」


ある種の不安が俺たちを襲う

それからしばしの沈黙が流れ、それを打開するかのようにバージェットは言った


「まぁこの場に佇んでいても仕方ねえ」

「いくぞ」

そうバージェットは言うと用意していたフ-ドつきの服に着替えそのフ-ドで頭をすっぽりと被った


バージェットが言うには盗みに入ったときに顔を知られてる可能性があるから、

フ-ドを被って顔を隠すということらしかった

俺たちはあの事については何も言及しないでいた


そして俺たちは城下町の門の前まで来る


そこには2体の巨大なゴブリン門番が立っている


そしてツバサはそのゴブリン門番を見つめながら語尾を強めて俺たちに言った

正直その話しはここに来るまで耳にタコができるくらい聞いていた


「い-い?」

「絶対ここで問題起こしちゃダメだよ!」

「はいはい分かった分かった」

「りょ-かい」

俺とバージェットは空返事で答える

「絶対分かってないでしょ!」

「もしここで問題おこして目立っちゃったら全てが台無しになるんだからね!」

「はいはい」


「もう…!」

ツバサはあきれ顔の表情になる

そしてツバサを見ながらヨサクは言った

「ツバサさん…苦労されてるんすよね」

「うん分かってくれる人が来てくれて良かった…」

「はぁ…」

「はぁ…」

二人はそんなやり取りをしながらため息をつく



そしてそんなツバサやヨサクの心配をよそに

無事にムズガルド城の城下町へと潜入することに成功する


しばらく進むと凄い音が聞こえてきた

何事か…?と急ぎその場へと進むと、

そこにはみすぼらしい顔をしたひとりの老人のゴブリンと

数人のゴブリン兵がその老人を取り囲むようにしていた


そして罵声のようなものが聞こえてくる

「おいこらじいさん!!」

「ここで商売したけりゃ金よこせって言わなかったのか!!」

「ああん!?」

「ぎゃはははは!!!」

見るからに醜悪なゴブリン兵がその老人を恐喝していた


話しはまだ続く


「金が払えねえっていうならしょうがねえな」

「今日のところはこの売り物全部で勘弁してやるよ」

「こんなもんでも売りさばけばいくらかの金にはなるだろ」

しかしか細い声でその老人は反論しようとする

「そんな全部持っていかれては…」

「関係ねえ!!!」

その売り物を蹴飛ばす

「何ならあんたの五体切り刻んで売ってやってもいいんだぜ?」「ぎゃはははは!!!」



俺は我慢の限界を越え止めに行こうとする

しかし袖を捕まれ止められる

ツバサだった

ここで問題を起こせば全て台無しになる

そんなことは分かってる

しかし俺は何とか踏みとどまった


そしてまだやり取りを続く


ひとりのゴブリン兵が周りを見渡しながら言った

誰も自分たちに意見してこないのを確認したのだろう


そして醜悪な笑いを見せながら言った

「この先でっかい戦争があるんだ」

「こんなじいさん一人死んだってどういうことはない」

「俺たちに逆らった罪だ」

「殺して売り物没収でよくね?」


するとみんな大声を出して笑う

「ははははは!」

「いいねえ…それ!」

「それとついでに五体に切り刻んで売ってぱらっておくか…」

「お前ら押さえつけとけ!!」

その中ではリ-ダ-格らしい男が命令する



「やめて下さい…!」

老人の悲痛な叫び声がこだまする


そしてその老人は捕らえられ狂喜の斧が降り下ろされようとしていた


俺はもう我慢できなかった

俺が出ようとすると一人の男が俺の前をつかつかとそのゴブリン兵に向かって歩いていく


「おい」

その男は斧を降り下ろそうしている男の手首を掴む

バージェットだった


「あっ?」

そのゴブリン兵は何事かとバージェットを睨みつける

その刹那…!

その男はバージェットによって吹き飛ばされていた


「なっ…!?」

ゴブリン兵たちに動揺が走る


「お前えええええ!!!??」

ゴブリン兵はバージェットに斬りかかっていた


しかしバージェットはそんなゴブリン兵を一喝する

そして叫んだ

「いつからそんな兵に成り下がったんだ!!!!」

「そんなもんじゃねえだろ!!!!」

そういい放つとバージェットはあっという間にそのゴブリン兵たちを拳で殴り倒していた


その場の全員が固まる


「お前たちそこで何やってる!?」

するとこの騒ぎを嗅ぎ付けゴブリン兵たちが走りよってくる


「やべっ…!?」

バージェットは慌てる


そしてあっという間に俺たちのそばまで来ると叫んだ

「逃げるぞ!!」

すぐさま俺たちはいりくんだ城下町の中へと逃げ込んでいく


そしてバージェットは逃げ際に後ろを振り返りその老人に言った


「悪かったな!」

「あとは適当に誤魔化してくれ」

「もし何かあったら中央に届けでろ!!」

「あいつらはそんな腐っちゃいねえはずだ!」


そしてバージェットは含め俺たちはその場から逃げ出していく


しかし走りながら怒ったようにツバサは言った

「もうだからあれほど言ったでしょ!!!」

「すまねえ」

バージェットは本当に申し訳なさそうにしている

しかしツバサはポツリと言った

「でも…」

「胸がスっとしたよ」


「えっ…」

「何だって…?」

バージェットは聞き返す


「もう何でもない…!」


そしてバージェットは言った

「でも安心しろ」

「峰打ちだ…」

「殺しちゃいねえ」

「もう…そういう問題じゃない…!!」

「はははははは」

その場に笑い声が上がる




そしてバージェットたちはその老人からどんどん離れていく

そしてその老人はバージェットたちの後ろ姿を見つめながら意味ありげに言った


ふぉふぉふぉ…

若き力が育んでいるな

そして正しい力…

きみたちの進みゆく先にはさまざまな出会い…

そして大きな困難が待ち受けているだろう

君たちはその冒険の果てに一体何を見る?

我々と同じか…

あるいは…


進め…少年たちよ

感じるままに全てを越えてゆけ

その感じたものが大きな答えとなる




場面は変わり

俺たちは城下町を逃げていた

「あっちに逃げたぞ!」

「挟みこめ!!」

「こっちだ…!!」

俺たちは退路を立たれていた

土地勘のあるバージェットだったがムズガルド城の中でも精鋭の中でも精鋭…

団長クラスの男に偶然出会ってしまったのが大きい


そしてあっちもゴブリン兵…

こっちもゴブリン兵…

まさに四面楚歌だった


そしてバージェットを先頭にしてとある路地を曲がろうした時…!

一人の女性とぶつかる

その反動でバージェットは後ろへと転びフードが取れてしまう


そしてその女性はバージェットを見つめ言った

「あなたは…」

バージェットも上を見上げ答える

「お前は…」


運命の出会いだった

そしてムズガルド城編はバージェットとこの女性…

この二人を中心にして大きな歯車が回りだそうとしていた

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