• 風を掬う者

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挿話弐拾陸/立ちはだかる二つの壁

燿炎ようえん達、反乱軍が大地の大陸を復活させて、の国を建ててから十二年が過ぎようとしていた。


その間に反乱軍は各地の抵抗勢力を吸収しながら、風の大陸、そして炎の大陸を露衣土ろいど帝国の支配から解放して、更に氷の大陸の約五分の一程の領域まで攻め込んでいる。


この時点ですでに立場が逆転して、反乱軍は露衣土討伐軍とでも言うべき存在になっていた。


しかし此処へ来て、中々、先へとは進めなくなってもきている。


それというのも、風の大陸、炎の大陸と、露衣土帝国の支配から解放する事は出来たのだが、解放したらしたで、今度は幾つかの地域で秩序を保てなくなってしまったのだ。


特に独立指向の強い風の大陸では、それが燿炎達、討伐軍の足枷にもなっていた。


炎の大陸の方は解放する際に苦労した分だけ、今のところは風の大陸程、問題にはなっていない。


それでも風の大陸程ではないと云うだけだ、問題が全く無い訳ではなかった。


とにもかくにも、人間とは本当に身勝手な生き物で、露衣土帝国に支配されている間は露衣土を恐れてか、余り派手に暴れる者はいなかったのだが、反乱軍によって露衣土帝国の支配から解放された途端に、次々と勝手に暴れ回る者達が出て来てしまったのだ。


勿論、次々と言っても全体から考えれば、一部の者達にしか過ぎない。


しかし、その一部の者達を放っておく事で、何の罪もない民衆を犠牲にしてしまうのであれば、平和の為にと戦っている反乱軍、いや、討伐軍の存在意義を問われかねないのである。


結局、統治者が誰であれ、秩序は守らなければならない。


討伐軍はその為に各地へ兵を送らなければならず、戦力を一本化出来ないでいる。


更にもう一つ大きな問題を抱えていた。


これまで風の大陸、炎の大陸では、露衣土の圧政に対する反発も強くて、民衆の多くは露衣土帝国の支配から解放される事を望み、その望みを反乱軍に託す様な形だったので、大概の場合において反乱軍は民衆に歓迎されて、民衆は反乱軍に協力的でもあった。


しかし氷の大陸まで来ると、さすがに、これまで通りとは、いかなくなってもきている。


それと言うのも当然に氷の大陸の民衆にとっては、露衣土帝国が自分達の誇りにもなっているからであった。


世の情勢が逆転したとは言え、氷の大陸の民衆にとって討伐軍は未だ反乱軍であって、侵略者として見ているのだ。


そんな中で力ずくで進軍でもしようものなら、それは露衣土帝国がやってきた事となんら変わりがなくなってしまう。


そうかと言って、露衣土をこのまま放っておいて、露衣土が黙っている訳でもない。


恐らくは再び露衣土帝国の戦力を蓄えさせてしまう事にもなるであろう。


そして、また、情勢が逆転する事も無い話ではないのである。


結局、戦争が終わる事無く、より多くの民衆が犠牲になる事にもなってしまうのだ。


強引に進軍する訳にもいかず、露衣土の討伐を止める訳にもいかず、燿炎達は此処へきて、足踏みせざるを得なくなっていた。

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