挿話弐拾肆/返り討ち

大地の大陸にの国を建てた、反乱軍。


建国から一年半程、過ぎている。


その間、国力の安定に力を注いできたが、今度は少しずつ露衣土ろいど帝国に対向する為の戦力を整える必要も出てきていた。


未だに炎の大陸と風の大陸から、人々の流入は続いている。


大地の大陸には広大な土地があったので、逃れて来た人々を受け入れる事は可能ではあった。


しかし、それだけ炎の大陸と風の大陸が混乱を極めているという事でもあって、出来るだけ早く、その様な状況を静める必要もある様に思われる。


そして逃れて来た人々の中から一部、戦闘に適性の高い者達を反乱軍の戦力として訓練もし始めていた。


そんなある日、露衣土軍の討伐隊がやって来る。


燿炎ようえん麗羅れいら凍浬とうり、そして数十人の兵士を引き連れて迎え撃つ。


崩墟ほうきょや大地の精霊の守護を受けた兵士は大地の魔法が効かない大地の大陸では、戦力にならないので留守番をするしかなかった。


やって来た露衣土軍の方は三十人程であろうか。


人数はそれ程の差がある訳では無かった。


燿炎達、反乱軍の方が幾らか多いくらいであろう。


露衣土軍を率いていたのは岩堝がんかと云う男であった。


以前に炎の大陸で燿炎達、反乱軍を地割れの魔法で一網打尽にした男だ。


その岩堝が燿炎に向かって声を荒げる。


「裏切り者、燿炎よ!よくも、この俺を謀ってくれたものよ!おかげで俺はとんでもない恥をかかされてしまったぜ!」


「謀った!?俺はお前を謀った覚えなんてない。変な言い掛かりは止めて貰いたいね」


燿炎は岩堝が何を言っているのか、理解が出来ずにいた。


岩堝が再び燿炎に向かって声を荒げる。


「惚けるんじゃねぇよ!俺に敗れたフリをして此処まで逃げて来たくせに!」


「なるほどね。しかし、それは誤解だ。あの時は別にフリをした訳じゃない。本当に危機一髪だった。その危機を回避出来たのは我々に理があるからだと俺は思っているが、お前はどう思う!?」


声を荒げる岩堝とは対照的に燿炎は至って冷静に岩堝へ向かって問うた。


そんな燿炎に攣られる様に先程よりは声を抑えて話をしてくる、岩堝。


「何が理だよ。幾ら生意気を言っても俺に恥をかかしてくれた罪が消える訳ではない」


「そっちが、そう来るのなら、こちらも言わせて貰う。お前の所為で俺達は何人かの仲間を失った。本来なら許す事は出来ないが、無駄な争いを避ける為にお前達の方から降参するというのであれば、勘弁してやらない事もない」


燿炎は岩堝に対して投降を要求した。


それを聞いた岩堝が再び声を荒げて語る。


「何が勘弁だ!勘弁するしないは、こちらの方だ!この際、俺に対する非礼は勘弁してやろう。しかし露衣土様に対する非礼だけは勘弁ならん!露衣土様に反旗を翻すどころか、露衣土様の許しも無く大地の大陸を復活させ、あまつさえ新たな国家を建てるという傍若無人な振る舞い。この俺が露衣土様に代わって成敗してくれようぞ!」


「何が露衣土、だ。露衣土の事はよく知ってるが、なんか、つける程の奴じゃねーよ!それよりも時節を誤ると、無駄に命を落とす事になるだけだぜ。おとなしく俺達の軍門に下った方がお前達の身の為だ」


燿炎は再び岩堝達に投降を促した。


「裏切り者の分際で何をほざく!俺は逆賊に懐柔される程、落ちぶれてはおらん!何が時節だ。未だ露衣土様の天下である事は何も変わってはおらん。お前の方こそ分を弁えるがいい!己の愚行を思い知れ!」


そう叫びながら岩堝は魔法を使う。


しかし何も起こらなかった。


岩堝は何度も地割れの魔法を使うが、一向に何も起こらない。


露衣土軍は岩堝の魔法を切っ掛けに総攻撃をする予定だったが、岩堝の魔法が効かないので、どうしたらいいのか判らずに戸惑うだけであった。


その様子を目の当たりにして、燿炎が特大の炎を作り出す。


そして続け様に叫ぶ。


「後は皆に任せたぜ!」


麗羅が風の魔法で燿炎の作り出した炎を拡げて、露衣土軍に浴びせ掛ける。


岩堝を含めた半数以上が炎に呑まれて燃え尽きた。


残りを凍浬や他の兵士がそれぞれの魔法で片付ける。


あっという間に露衣土軍は全滅した。

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