第5話 狂態! 無限博士ジーニア!

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 突然だが、皆さんは科学について、一体どうお考えだろうか?


 現代における人類の便利な生活は、全て科学のおかげと言ってもいいだろう。

 

 火を自在に扱えるようになったのも。

 火薬も、羅針盤も、活版印刷も。

 電気を生み出し、様々な事象に活用できるのも。

 電球も、電話も、テレビも、エアコンも、冷蔵庫も、電子レンジも、パソコンも。

 車が地面を走るのも、船が水に浮くのも、飛行機が空を飛ぶのも。

 医療も、軍事も、娯楽も。


 今や人間の生活の全ては、科学を基盤としていると言ってもいいだろう。


 物理学、天文学、化学、生物学、数学、統計学、法学、経済学、経営学、工学、建築学、農学、医学、政治学、社会学、心理学、歴史学、地理学、哲学、宗教学、文学、言語学 、等々……、広義の意味でのを挙げだせば、きりがない。


 専門的な話は置いておくとして、一般的に科学と聞かれて皆さんが抱く、身近なイメージは、いわゆる学校の授業などで行う、理科の実験だろうか。


 あくまでも授業として、すでに検証され尽くされた実験を、手順通りに繰り返す。


 それは、科学への入門としては有用かもしれないが、しかし、真の意味の科学は、そこには存在しない。


 知恵を振り絞り、理論を確立し、新たな発見に震え、その正しさを客観的な証拠を持って証明する。


 それが、科学だ。



 科学は苦手だと思う人もいれば、逆に得意だという人もいるだろう。

 好きだと言う人もいれば、嫌いだと言う人もいるだろう。


 しかし、科学という体系が、人類にもたらした恩恵は、計り知れない。


 近い将来、もしくは遠い未来には、今は夢物語と思われているような出来事も、現実のものになるのかもしれない。


 戦艦で宇宙を飛び回ったり。

 人としての肉体を捨て、機械の身体で生きていけたり。

 電脳の海に意識ごとダイブ出来たり。

 巨大な機動兵器を乗り回して、星間単位で戦争なんてしたり。


 いや、もしかしたら、そんなとんでもない技術は、もうすでに完成していて、俺たちが、それを知らないだけなのかもしれない。


 科学は夢だ。

 理想を現実に、非日常を日常にするための、万能ツール。


 しかし、そんな万能ツールを扱うのは、悩み、惑い、失敗だってする人間であるという事実は、忘れてはならない。


 これは、俺と、悪の組織と、――科学のお話だ。


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