この指はいったい誰のだろう?
- ★★★ Excellent!!!
行くあてもなく、どこか遠くへ。
見知らぬ場所に降り立てば、そこで新たな発見があるかもしれない。
ふと思いついた旅にはそんな魅力を感じますよね。
本作での主人公が旅に出かけるきっかけとなったのは赤子・太郎の顔の黒い変化でした。
旅の理由としては、
なんとも奇妙な結びつけでしょうか。
顔以外はピンク色のもちもち肌なのに、なぜか顔だけが日を追うごとに黒さを増し、さらにはカビの臭いまで帯び始める。
夫に訴えてもその変化がわからず、妻の私だけに見えている怪奇現象を突きつけてくる冒頭。
さらによく見ると顔以外でもその黒変は進み、黒くなった右手の小指をつまみ直そうとしたら、ぷちゅ、と音を立ててつぶれてしまう。
びいいっと鳴き喚く太郎。
その時、何かに導かれるように身支度を整え、家を飛び出した。
これは夢なのか、それとも現実逃避なのか。
気づけば電車や夜行バスに乗り込み、行くあてのない遠い終点を目指すのがこの物語の大筋の流れとなります。
時折現れる指や黒い描写に注目してみてください。
何か気づきませんか?
黒ずんだ小指。
マニキュアで塗った鮮やかな指々。
あれ? 指が一本足りない。
トートバッグがのぞかせる黒いモノ。
これ、なんだろう。
想像すればするほど、ある可能性が浮かび上がる。
信じたくないけれど、そう思わざるを得ない。
それが確信に変わった時、背筋がぶるるっと震えました。
気の向くままの一人の逃避的な旅もいいですが、どうしてももう一人いると思えてしまう。
一人よりも二人のほうが怖いと思えるのは、気のせいでしょうか?
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