1860年のロンドンに家ごと転移した主人公が、なぜか5ペニーのスープ屋を始める物語。
この設定だけでも面白いのですが、主人公が「現代知識で歴史を変えてやろう!」とはまったく考えていないのがいいです。
一人一杯、5ペニー、持ち帰り禁止。貴族だろうと貧しい子供だろうと、屋台のルールは同じ。
本人はただスープを売っているだけなのに、気づけば貧しい子供たちや労働者が集まり、ハリーたちが屋台を手伝い始め、しまいには貴族までやって来る。
この「本人は何もしていないつもりなのに、周りが勝手に変わっていく」感じがすごく好きです。
特にハリーたちが屋台の周りにテーブルやベンチを作って、いつの間にかそこがみんなの居場所になっていくところが印象的でした。
一方で、1860年のロンドンなので、児童労働や貧困、衛生環境などはかなり厳しい。ほのぼのした屋台ものかと思っていたら、当時の社会の現実もしっかり見えてきます。
そして何より、周囲から「神様」とまで言われているのに、本人は「俺は飯を売ってるだけ」という感じなのが面白い。
5ペニーのスープ屋が、この先ロンドンでどんな騒ぎを起こしていくのか楽しみです。
かなり面白いです。
舞台が1860年のイギリスというのが面白いです。1860年といえば日本では幕末で近代国家日本を始める前段階という感じですが、当時イギリスは圧倒的な世界の覇者として君臨しています。経済的にもそうですが軍事的にも1853年に始まったクリミア戦争に勝ち、1856年に始まった対清のアロー戦争でも勝っていて、良い悪いはともかくとしてノリノリの状態と言えます。
また、世界全体でも1861年にはアメリカで南北戦争が起きますし、同じく1861年にはイタリア王国が成立(イタリア統一がかなり進行した状態)します。
少し先にはなりますが1869年にはスエズ運河が開通し1875年にはイギリスが会社株を購入して支配するようになります。
つまり、世界全体としてイギリスが支配しつつも、多くの国が現代に繋がる近代国家を形成していき、また各国の植民地拡大がさらに拡大する変革期の直前と言えます。そんな時代に主人公が爆誕するので、主人公の存在がどう影響するのか今後が楽しみになります。
また、いくら覇権国だとしても1860年の近代国家なのでまだまだ現代とは程遠いところもあり時代ならではの雰囲気を楽しめますし、そこに現代人が行くことによるギャップも感じられます。
また、単にイギリスで屋台屋をやる感じかと思いきや、屋台や商品は主人公すら分かっていない誰かのチートにより提供されていて、効能も凄まじい感じでファンタジー要素もあります。
なので規模としては屋台一店舗ですがはちゃめちゃさもあり地味な展開という感じでもありません。
普通に偉い人との接点もでき、それが世界覇権国の偉い人なので面白いです。主人公が偉い人の事業に直接関わるとかではないですが。
あと、イギリスが当時圧倒的な覇権国であったので様々な著名人が当時のイギリスにいるわけで、そういった人との交流も面白いです。
緊張感がある訳では無いですし主人公が窮地に陥る的なことも特に起きないですが、舞台が舞台なだけに次に何が起きるか楽しみになります。